失業率が戦後最悪の水準に

カテゴリー:雇用・失業問題統計

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  • 国別労働トピック:2020年5月

連邦労働省が5月8日に発表した4月の失業率(季節調整値、速報値)は14.7%と前月の4.4%を10.3ポイント上回り、比較可能な1948年以降で最悪の水準となった。また、非農業部門の就業者数は前月より2,050万人もの減少を記録。新型コロナウイルス感染拡大による経済活動停止の影響が雇用を直撃している。

戦後から現在までの失業率の推移

戦後の失業率の推移を見ると、大きなピークが3回ある。これまでの1カ月の変動幅で最大だったのは、1回目のピーク、第一次オイルショック後の1974年12月から75年1月にかけてだった。この時は7.2%から8.1%へと0.9ポイント悪化した(図1)(注1)

失業率がこれまで最も高まったのは、2回目のピークの1982年11~12月の10.8%。当時は、第二次オイルショック後の1979年12月の6.0%からしだいに上昇。3年かけて4ポイントほど増加し、ピークに達した。

3回目のピークはリーマンショック時で、2008年9月の6.1%から、約1年後の09年10月に10.0%へと悪化した。今回の1カ月10.3ポイント上昇は、これらいずれのピーク時をも上回る規模の急激な変化であることがわかる。

図1:第二次大戦後の 米失業率の推移(月次、季節調整値)
図1:画像

出所:連邦労働省(労働統計局)ウェブサイト

失業者数は約2,308万人に急増

4月の失業者数(季節調整値、速報値)は前月の714万人から2,307万8,000人へと1,593万8,000人増加した。

米国の失業者の定義は、調査した週に仕事がない16歳以上の者で、すぐに就業が可能であり(一時的な病気の場合は除く)、過去4週間以内に求職活動を行った者である。レイオフされた労働者で前職に復帰するために待機中の者も含む。

過去4週間以内に求職活動をしておらず、失業者としてカウントされない「非労働力人口」のうち、「就業希望者」の人数(季節調整値)を見ると、2020年2月まで500万人前後で推移していたところ、3月に550万9,000人になった後、4月に991万6,000人へと急増している。

また、就業希望者のうち過去1年以内に求職活動をした者を含む失業率(季節調整値、速報値)は16.0%(前月比10.8ポイント上昇)、これに加え、経済的理由でパートタイム労働に就いている者を「失業者」とみなした場合の算出値は22.8%(同14.1ポイント上昇)へと高まる。

なお、2020年5月3日から5月9日までの1週間の新規失業保険申請件数は298万1,000件で、3月15日以降の延べ人数は3,600万人を超えている(季節調整値、速報値)。

就業者数の記録的減少

4月の非農業部門の就業者数(季節調整値、速報値)は前月に比べ2,053万7,000人の減少を記録した。比較可能な1939年2月以降では、第二次大戦終結直後の45年9月に前月比で195万9,000人減少したのが最大の落ち込みだった。

業種別に見ると、「レジャー・接客」での765万3,000人の減少が際立つ。このうち「飲食店」が約7割(549万1,000人減)を占めている。

このほか、「教育・健康」(254万4,000人減)、「専門・ビジネス支援」(212万8,000人減)、「小売り」(210万6,000人減)での就業者減が目立つ(「教育・健康」のうち「医療・介護」で143万6,000人減少している)。製造業は133万人、建設業は97万5,000人の減少となっている。

参考資料

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