雇用形態別労働実態調査結果

カテゴリー:雇用・失業問題非正規雇用労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2019年7月

雇用労働部は2019年4月24日、2018年6月基準の労働者1人以上の事業所の雇用形態別労働実態調査の結果(特殊形態勤労従事者の分析を除く)を発表した。それによると正規雇用労働者、非正規雇用労働者ともに、前年に比べて時間当たり賃金総額が大幅に増加する一方、月平均総実労働時間は大幅に減少した。本調査結果の概要を紹介する。

非正規雇用労働者の区分

韓国の非正規雇用労働者の区分は、①時限的勤労者(以下「有期契約労働者」)、②時間制勤労者(以下「短時間労働者」)、③非典型勤労者、に区分される。有期契約労働者は、雇用期間に定めのある労働者又は雇用期間に定めがなくても非自発的な理由から継続的な勤務が期待できない労働者である。短時間労働者は、1週間の労働時間が36時間未満の労働者である。非典型雇用者は、派遣労働者、請負労働者、日雇労働者に区分される。

時間当たり賃金総額の現状

2018年6月基準の時間当たり賃金総額(賃金総額を、超過勤務時間を含む総実労働時間で除した額)は、正規、非正規を合わせた労働者全体で19,522ウォン(前年比12.3%増)、正規雇用労働者21,203ウォン(前年比12.6%増)、非正規雇用労働者14,492ウォン(前年比11.0%増)であった(表1)。非正規雇用の時間当たり賃金総額は、正規雇用の68.3%(前年比1.0%ポイント低下)の水準となっている。

非正規雇用の雇用形態別時間当たり賃金総額をみると、日雇労働者(17,180ウォン)、有期契約労働者(14,680ウォン)、派遣労働者(13,498ウォン)、短時間労働者(13,402ウォン)、請負労働者(11,690ウォン)の順に高かった。

表1:雇用形態別時間当たり賃金総額の推移 (単位:ウォン、%)
表1:画像
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注:( ) 内は前年対比増減率。

出所:韓国雇用労働部「2018年6月基準雇用形態別労働実態調査の結果」

男女別にみると、男性は全体労働者22,515ウォン、正規雇用24,059ウォン、非正規雇用16,696ウォン、女性は全体労働者15,265ウォン、正規雇用16,561ウォン、非正規雇用12,357ウォンであった(表2)。男性の時間当たり賃金総額に占める女性の時間当たり賃金総額の割合は、全体労働者67.8%、正規雇用68.8%、非正規雇用74.0%の水準となっている。

表2:男女別の時間当たり賃金総額 (単位:ウォン、%)
表2:画像

注:[ ]内は男性に対する比率、 ( )内は非正規雇用の正規雇用に対する比率

出所:韓国雇用労働部「2018年6月基準雇用形態別労働実態調査の結果」

年齢階層別にみると、全体労働者、正規雇用及び非正規雇用ともに、年齢が上がるにつれて時間当たり賃金総額が増加しているが、40~49歳層をピークに減少している(表3)。

表3:年齢階層別の時間当たり賃金総額(2018年6月基準) (単位:ウォン、%)
表3:画像

注:[ ]内は19歳以下に対する比率、 ( )内は非正規雇用の正規雇用に対する比率

出所:韓国雇用労働部「2018年6月基準雇用形態別労働実態調査の結果」

企業規模別にみると、規模が大きいほど、賃金総額が高い。正規雇用の時間当たり賃金総額に占める非正規雇用労働者の時間当たり賃金総額の割合は、5人未満(86.5%)、5~29人(78.2%)、300人未満(73.6%)、30~299人(70.4%)、300人以上(63.2%)の順となっている(表4)。

表4:企業規模別の時間当たり賃金総額(2018年6月基準) (単位:ウォン、%)
表4:画像

注:( )内は非正規雇用の正規雇用に対する比率

出所:韓国雇用労働部「2018年6月基準雇用形態別労働実態調査の結果」

雇用形態別月平均総実労働時間の現状

2018年6月基準の月平均総実労働時間(超過勤務時間を含む)は、全体労働者156.4時間(前年比12.2時間減)、正規雇用労働者169.7時間(前年比13.4時間減)、非正規雇用労働者116.3時間(前年比8.8時間減)であった(表5)。非正規雇用の月平均総実労働時間は、正規雇用の68.5%(前年比0.2%ポイント上昇)の水準となっている。

非正規雇用労働者の月平均総実労働時間を雇用形態別にみると、有期契約労働者が170.3時間(前年比12.2時間減)、請負労働者が167.5時間(前年比15.2時間減)で長かった(表5)。派遣労働者の総実労働時間は156.3時間で前年比21.3%減少した。

表5:雇用形態別の月平均総実労働時間の推移 (単位:時間、%)
表5:画像
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注:( ) 内は前年対比の労働時間の差。

出所:韓国雇用労働部「2018年6月基準雇用形態別労働実態調査の結果」

男女別にみると、男性は全体労働者161.8時間、正規雇用171.6時間、非正規雇用124.8時間であり、女性は全体労働者148.6時間(対男性比91.8%)、正規雇用166.7時間(対男性比97.1%)、非正規雇用108.0時間(対男性比86.5%)であった(表6)。

表6:男女別月平均総実労働時間(2018年6月基準) (単位:時間、%)
表6:画像

注:[ ]内は男性に対する比率、 ( )内は非正規雇用の比率

出所:韓国雇用労働部「2018年6月基準雇用形態別労働実態調査の結果」

年齢階層別にみると、全体労働者は30~39歳層の総実労働時間が162.5時間と最も長い。正規雇用は50~59歳層(172.5時間)が最も長く、非正規雇用は30~39歳層(127.8時間)が最も長い。非正規雇用の総実労働時間の割合は、各年齢階層ともに正規雇用の70%前後の水準となっている(表7)。

表7:年齢階層別の月平均総実労働時間(2018年6月基準) (単位:時間、%)
表7:画像

注:[ ]内は19歳以下に対する比率、 ( )内は非正規雇用の正規雇用に対する比率

出所:韓国雇用労働部「2018年6月基準雇用形態別労働実態調査の結果」

企業規模別にみると、300人未満では、全体労働者及び非正規雇用は規模が大きいほど総実労働時間が長くなっているが、正規雇用は5~29人規模企業が最も長い(表8)。

表8:企業規模別の月平均総実労働時間(2018年6月基準) (単位:時間、%)
表8:画像

注:( )内は非正規雇用の正規雇用に対する比率

出所:韓国雇用労働部「2018年6月基準雇用形態別労働実態調査の結果」

社会保険、労働組合加入及び付加給付の現状

社会保険の加入率をみると、雇用保険は全体労働者89.6%、正規雇用94.6%、非正規雇用70.8%、健康保険は全体労働者89.4%、正規雇用98.1%、非正規雇用59.5%、国民年金は全体労働者89.7%、正規雇用97.9%、非正規雇用56.5%、産業災害補償保険(産災保険)は全体労働者97.4%、正規雇用97.5%、非正規雇用96.7%であった(表9)。

正規雇用と非正規雇用の社会保険加入率の差は、国民年金(41.4%pt)、健康保険(38.6%pt)、雇用保険(23.8%pt)、産災保険(0.8%pt)の順に大きい。

非正規雇用の社会保険加入率を雇用形態別にみると、派遣労働者、請負労働者及び有期契約労働者の加入率は85%以上の高い水準であるのに対し、日雇労働者と短時間労働者の加入率は低い水準となっている。

労働組合加入率は、全体労働者10.0%、正規雇用12.7%、非正規雇用1.9%となっている。非正規雇用の中では、有期契約労働者(4.8%)、請負労働者(4.3%)の労働組合加入率が高い。

付加給付についてみると、退職年金の加入率は全体労働者48.4%、正規雇用57.0%、非正規雇用22.7%、賞与の適用率は全体労働者52.7%、正規雇用63.0%、非正規雇用22.1%となっている。

表9:社会保険加入率、労働組合加入率、付加給付の現状 (単位:%、対前年比増減%pt)
表9:画像

注:日雇労働者の社会保険加入率は社会保険による加入対象範囲(例、国民年金、健康保険の場合は1カ月未満の期限を定め使用される労働者は適用除外)の差が大きい。

出所:韓国雇用労働部「2018年6月基準雇用形態別労働実態調査の結果」

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