法定最低賃金(SMIC)の引き上げ
―時給9.88ユーロへ1.23%の小幅な伸びに
フランスの法定最低賃金(SMIC)(注1)は2018年1月から時給9.88ユーロに引上げることを発表した(注2)。例年、ほぼ同時期に最賃影響率(最低賃金額を改定した後に、改定後の最低賃金額を下回る労働者の割合)に関する統計数値が発表されているが、2017年1月の改定によって賃金引上げとなった雇用労働者が165万人で、労働者全体の10.6%であることがわかった。
2008年以降、小幅な伸びに留まる
フランスの法定最低賃金(SMIC)の引上げが12月20日公表された。2018年1月から施行される最賃額は9.88ユーロ。2017年1月改定の9.76ユーロからは1.23%の小幅な伸びにとどまった。2001年以降の最賃額と引上げ幅の推移をみると、2008年以降、小幅な引上げとなっている(図表1)。なお、フランスの最低賃金の引上げは物価上昇に基づいて決定される(注3)ため、物価上昇が激しい場合には年に複数回引上げられることもある。
図表1:最賃額と引上げ割合の推移(2001年~2018年)
出所:政府発表資料より作成
ホテル・レストランで高い影響率
2017年1月1日の改定によって賃金が引き上げられることになった労働者は約165万人であり、民間部門雇用労働者の10.6%に相当する(注4)(1987年以降の推移を図表2に示した)。
図表2:最賃影響率の推移(1987年~2017年)
出所:政府発表資料より作成
影響率を従業員規模別にみた場合、10人未満の小規模事業所では24.3%、10人以上では7.4%、その中でも500人以上の事業所では4.5%となっており、規模が大きいほど最賃引き上げの影響率が小さくなる。雇用形態別では、フルタイムの影響率が7.5%であるのに対して、パートタイムは24.2%と、パートタイム労働者の影響率が大きい。パートタイム労働者の割合も従業員規模による違いがあり、10人以上では19.4%であるのに対して、10人未満では35.3%となっている。
業種別では製造業が13.1%、建設業が24.1%、サービス業が25.0%となっている。サービス業の中でもホテル・レストランが最も高く、54.1%であった。
注
- Salaire minimum interprofessionnel de croissance(業種間一律スライド制最低賃金)の略称。(本文へ)
- Relèvement du salaire minimum de croissance, Compte rendu du Conseil des ministres du 20 décembre 2017(政府発表)(本文へ)
- SMICの改定率は、物価と賃金の変動などに基づき決定される。ここでいう物価とは、消費者物価指数(indice des prix a la consommation)のことであるが、タバコの価格の変化は除くものである。(本文へ)
- 政府公式ウェブサイト参照(Christine Pinel(2017) «La revalorisation du Smic au 1er janvier 2017 », DARES résultats, décembre 2017, N° 077,(PDF:746KB))(本文へ)
(ウェブサイト最終閲覧日:2018年5月23日)
参考レート
- 1ユーロ(EUR)=128.15円(2018年5月28日現在 みずほ銀行ウェブサイト)
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