雇用許可制施行から10年
―外国人就業者数は増加傾向、韓国雇用情報院(KEIS)が報告

カテゴリー:外国人労働者

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  • 国別労働トピック:2015年6月

韓国雇用情報院(KEIS)は、最近の外国人就業者の動向に関し、統計庁の「外国人雇用調査」の結果を基に分析を行なった。2015年3月のKEISの報告書よりその概要を紹介する。

統計から見た外国人就業者

2014年5月時点の統計によれば、15歳以上の国内在住外国人は125万6000人(注1)、対前年比で13万人増加した。このうち、就業者は85万2000人で、対前年比で9万2000人の増加があった。また失業者は4万4000人(対前年比1万1000人の増加)、非経済活動人口は36万人(対前年比2万7000人の増加)である。

国内労働市場に占める外国人就業者の規模は拡大する傾向にあり、就業者全体に対する外国人の割合は3.3%で(図表1)、賃金労働者に限定すると4.5%の水準となる。

図表1:外国人就業者
  2012年6月 2013年5月 2014年5月
全体就業者(千人) 25,177 25,398 25,810
外国人就業者(千人) 791 760 852
外国人就業者の割合(%) 3.2 3.0 3.3

出所:韓国雇用情報院のデータを基に作成

外国人就業者のうち、特に在外同胞(F-4)(注2)と永住者(F-5)の在留資格を持つ者が増加傾向にある。これらの資格については、付与拡大の政策もあって、今後もこの傾向は持続するものと予想される。

雇用許可制の施行から10年が経過

在留資格のうち、雇用許可制(注3)で管理される非専門就業(E-9)及び訪問就業(H-2)(注4)については、雇用許可制の施行から10年が経過したことにより、就業ビザの満了等の理由で、2013年には帰国対象者が増加し、一時減少した。

一方、在外同胞(F-4)と永住者(F-5)の資格による就業者については、継続して増加傾向にあり、全外国人就業者中、この資格を持つ者の割合が次第に高くなっていることが確認できる(図表2)。

図表2の「非専門就業(E-9)」「訪問就業(H-2)」「専門人材(E-1~E-7)」が就業資格によって在留資格を得た就業者であり、それ以外が就業資格によらず在留資格を所持している就業者ということになる。

図表2:在留資格別外国人就業者 
(単位:人、カッコ内は%)
  2012年6月 2013年5月 2014年5月
非専門就業(E-9) 238,197
(30.1)
225,681
(29.7)
246,658
(28.9)
訪問就業(H-2) 241,154
(30.5)
185,614
(24.4)
211,595
(24.8)
専門人材(E-1~E-7) 47,365
(6.0)
47,911
(6.3)
47,478
(5.6)
留学生(D-2、D-4-1) 12,973
(1.6)
10,815
(1.4)
7,722
(0.9)
在外同胞(F-4) 99,142
(12.5)
123,817
(16.3)
148,294
(17.4)
永住者(F-5) 47,327
(6.0)
58,355
(7.7)
71,588
(8.4)
結婚移民者(F-2-1、F-6) 60,466
(7.6)
57,981
(7.6)
61,253
(7.2)
その他 44,793
(5.7)
49,856
(6.6)
57,533
(6.8)
合計 791,417
(100.0)
760,031
(100.0)
852,122
(100.0)

出所:統計庁の資料を基に韓国雇用情報院が作成

単純労働者が増加

外国人就業者の増加は製造業と建設業が中心である。2014年は、製造業では4万1000人の増加(対前年比、以下同じ)、建設業では2万2000人の増加、卸小売業と宿泊・飲食店業では、それぞれ8000人の増加、農林漁業では7000人増加した。産業別に見た外国人就業者数の推移は、図表3のとおりである。

図表3:産業別外国人就業者 
(単位:千人、カッコ内は%)
  2012年 2013年 2014年
農林漁業 40
(5.1)
32
(4.2)
39
(4.6)
鉱業/製造業 368
(46.6)
377
(49.6)
418
(49.1)
建設業 85
(10.7)
64
(8.5)
86
(10.1)
卸小売業/宿泊・飲食店業 149
(18.8)
137
(18.0)
153
(18.0)
電気・ガス・水道/運輸/通信/金融 12
(1.6)
12
(1.6)
13
(1.5)
事業管理・事業支援サービス業
/家庭内雇用・自家消費生産活動
/公共サービス
136
(17.2)
138
(18.1)
142
(16.7)
合計 791
(100.0)
760
(100.0)
852
(100.0)

出所:統計庁の資料を基に作成。

また、外国人就業者が就業している職種を見ると(図表4)、単純労務従事者、装置・機械組立て従事者において圧倒的な増加が見られる。これらの職種は、国内労働者の未補充率が高い。すなわち、国内労働者が忌避する職種を外国人労働者によって代替させることによって、外国人労働者が増加しているという解析が可能となる。

図表4:職種別外国人就業者の増減現況 
(単位:千人、%、前年比)
  2012年6月 2013年5月 2014年5月
  比率   比率 増減   比率 増減
管理者 6 0.7 7 1.0 2 7 0.8 0
専門家及び関連従事者 86 10.8 85 11.2 -1 90 10.6 5
事務従事者 20 2.6 24 3.2 4 25 2.9 1
サービス従事者 75 9.5 70 9.3 -4 77 9.0 6
販売従事者 12 1.5 17 2.2 4 23 2.7 6
農林漁業熟練従事者 24 3.1 23 3.0 -1 24 2.8 1
技能員及び関連技能従事者 83 10.5 92 12.0 8 112 13.1 21
装置・機械組み立て従事者 247 31.2 192 25.3 -55 245 28.8 53
単純労務従事者 239 30.2 250 32.9 11 249 29.2 -1
全体 791 100.0 760 100.0 -31 852 100.0 92

出所:統計庁の資料を基に韓国雇用情報院が作成

在留資格別では「在外同胞」が増加

在留外国人の数は、在留資格、年齢においてもそれぞれ差異がみられる。「非専門就業(E-9)」「訪問就業(H-2)」「専門人材(E-1~E-7)」といった就業資格によって在留する外国人就業者の年齢は低くなる傾向にある。とりわけ雇用許可制の枠組みで就業する「非専門就業(E-9)」と「訪問就業(H-2)」については、20代、30代の青年層が中心となっている。これと反対に、就業資格によらないで在留する者の年齢は高くなる傾向にある。特に在外同胞(F-4)の資格による就業者は2013年には50代を中心に、2014年には60歳以上を中心として増加していることが確認できる(図表5)。

図表5:在留資格及び年齢別外国人就業者増減(対前年比) 
(単位:千人)
  2013年5月 2014年5月
29歳以下 30代 40代 50代 60歳以上 29歳以下 30代 40代 50代 60歳以上
非専門就業(E-9) -1 -8 -3     11 10      
訪問就業(H-2) 3 -10 -16 -30 -3 4 18   6 -2
専門人材
(E-1~E-7)
-3 3       1 -1      
留学生
(D-2、D-4-1)
-2         -3        
在外同胞(F-4)   10 3 11 1 4 3 5 3 10
永住者(F-5) 1 3 4 2 1 3 5 -3 7  
結婚移民者
(F-2-1、F-6)
-4 2 -2 1   3   1 -1  
その他 1   3   1 -3 4 1 6  
合計 -4   -12 -16   22 39 4 19 9

出所:統計庁の資料を基に韓国雇用情報院が作成

外国人就業者の労働条件(労働時間、賃金水準)

労働時間に関しては、外国人就業者の半数以上が週30時間以上50時間未満の水準であり、50時間以上という割合も32.4%となっている。外国人就業者の労働時間は、国内就業者に比較すれば長いものの、60時間以上といった極めて長い労働時間で就業する者の割合は、近年は減少傾向にあることも確認できる(図表6)。

図表6:外国人就業者の週当たり労働時間分布 
(単位:%)
  2012年6月 2013年5月 2014年5月
20時間未満 2.6 3.6 2.8
20時間以上30時間未満 3.3 5.9 3.9
30時間以上40時間未満 3.9 35.8 37.8
40時間以上50時間未満 37.1 21.9 23.2
50時間以上60時間未満 19.4 31.5 31.5
60時間以上 33.8 1.4 0.8

出所:韓国雇用情報院のデータを基に作成

賃金水準については、月当り100万ウォン以上200万ウォン未満の就業者の割合が最も高いが、200万ウォン以上300万ウォン未満の就業者について見ると、2014年は前年比で7万1000人程度増加し、28.2%を占めるようになった(図表7)。

図表7:外国人就業者の月当り平均賃金水準分布 
(単位:%)
  2012年6月 2013年5月 2014年5月
100万ウォン未満 6.8 5.7 4.3
100万ウォン以上200万ウォン未満 68.4 65.7 61.0
200ウォン以上300万ウォン未満 18.9 21.7 28.2
300万ウォン以上 5.9 6.9 6.6

出所:韓国雇用情報院のデータを基に作成

今後の見通し

以上のように、韓国雇用情報院(KEIS)は、統計庁の「外国人雇用調査」の結果を基に、最近の動向と特徴を導き出している。KEISは、今後も在外同胞(F-4)や永住者(F-5)の資格による在留者が持続的に増加することによって、外国人就業者の規模はより大きくなるとの見方を示しており、そうした中で、外国人就業者の労働条件については、改善傾向も見られるものの、外国人就業者の低い賃金水準は、韓国人の雇用にも影響を及ぼし得るものとなっており、特定の産業や職種では、使用者は韓国人よりも外国人を選り好みするようになり、たとえ韓国人を雇用するにしても、賃金その他の労働条件を引下げる可能性も考えられる——と指摘する。

参考資料

  • 韓国雇用情報院(KEIS)『雇用動向ブリーフ(2015年3月)』
  • 統計庁ウェブサイト

参考レート

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