UAW
―フォルクスワーゲン工場組織化選挙の訴え取り下げ

カテゴリー:労使関係

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  • 国別労働トピック:2014年5月

全米自動車労働組合(UAW)は、2月12から14日に実施されたフォルクスワーゲン社(VW社)のテネシー州チャタヌーガ工場の労働組合組織化をめぐる従業員投票で敗北した。その手続をめぐり、テネシー州選出州上院議員(共和党)の発言に選挙妨害があったとして、UAWは全国労働委員会(NLRB)に訴えていたが、4月21日に訴えを取り下げた。

部外者による妨害行為

UAWがNLRBに訴えていたのは、テネシー州選出ボブ・コーカー上院議員の発言が妨害行為に当たるかどうかということだった。コーカー上院議員の「労働組合が組織化されなければ、VWが新工場を立ちあげるために、3億ドルのインセンティブを与え、それによって新しい雇用が生まれる」という発言が、投票に影響を与えたために、やり直しをするべきだとUAWは主張していた。

労働組合が使用者と合法的に団体交渉を行うための手続きは、全国労働関係法(NLRA)によって規定されている。しかし、今回のように、使用者と労働組合以外の第3者が妨害行為をするようなことをNLRAは想定していない。

一方で、コーカー上院議員は、言論の自由が保障されるべきとして、UAWの訴えが無効であることを主張していた。

NLRBによるヒアリング前に訴えを取り下げ

4月末にはNLRBがUAWに対するヒアリングを始めるスケジュールになっていた。その直前にUAWは訴えを取り下げたのである。これにより、2月に行われた投票から向こう1年間の組織化活動をUAWが行うことはできなくなった。

これに関して、テネシー州を管轄するUAW第8地域代表は、「3億ドルにより生まれる雇用と経済効果を尊重したい」とのコメントを発表した。

UAWとVW社は、労働組合が組織化されれば、生産性と品質向上に協力するドイツ型の従業員代表組織の機能を持たせることで合意していた。つまり、使用者側が協力するなかで行われ組織化選挙であり、UAW側の勝利は疑いないと思われていた。

(山崎 憲)

参考

  • Laurence E. Dube, UAW Drops Volkswagen Election Objections, Citing ‘Dysfunctional and Complex’ Process, Daily Labor Report Apr. 21.

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