最低賃金7.2%引き上げ
―公労使委員会が決定

カテゴリー:労働法・働くルール

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  • 国別労働トピック:2013年8月

公労使委員で構成される最低賃金委員会は7月5日、2014年の1時間当たりの最低賃金を350ウォン(7.2%)引き上げ、5210ウォンとするよう決議した。雇用労働部は、256万5000人の低賃金労働者が最低賃金引き上げの恩恵を受けると予想している。

労使で隔たり、公益委員提案で決着

今年の審議においては、労使代表の立場に大きな隔たりがあった。当初、労働側は1時間当たり5910ウォン(前年比21.6%増)への引き上げを要求する一方、使用者側は2013年と同額の4860ウォンに据え置くよう求めた。6月27日の会議において、労働側は2013年の最低賃金を19.1%上回る5790ウォンへの引き上げを、使用者側は1%上回る4910ウォンへの引き上げをそれぞれ主張したが、双方の意見の相違は埋まらず、審議は延期された。

7月4日に開始された第7回会議において、公益委員が議論を促進するため、4996ウォン~5443ウォンの最低賃金の幅を提案した。しかし、労使双方とも差異を縮めることができず、暗礁に乗り上げ、審議の中断・再開を繰り返した。

審議が7月5日の午前4時過ぎまで続いた段階で、公益委員が2013年を7.2%上回る5210ウォンへの引き上げ案を提示した。27人の委員(公労使各9人)の中で、全国民主労働組合総連盟(民主労総)所属の労働者委員4人のうちの3人は引き上げ案が上程される前に退場し、使用者委員9人は引き上げ案の上程後に棄権した。最低賃金の議決には過半数の委員が出席し、過半数の賛成が必要となる。引き上げ案は残る15人の委員の満場一致で決議された。

5210ウォンの最低賃金は、週40時間労働(有休を含む月209時間)で計算すると108万8890ウォンの月給に相当する。7.2%の引き上げは、2008年の8.3%に次いで高い上昇率となっている(表)。

雇用労働部は、1人以上のすべての事業所の労働者のうち、256万5000人(14.5%)の低賃金労働者が最低賃金引き上げの恩恵を受けると予想している。最低賃金委員会は、引き上げにより最低賃金は5人以上の事業所で働く労働者の中位賃金の37.5%から40.0%の水準まで上昇するとの見通しを示した。

最低賃金引き上げ案に対する労使の評価

最低賃金委員会のパク・チュンソン委員長は、「今回の決定は、経済成長率、物価上昇率、労働者への所得分配の改善などを考慮したものだ。経済条件は困難だが、労働者の生活安定と所得分配の改善を優先した」と述べた。

民主労総は、「2013年の100人以上事業所の賃金上昇率は4.5%で、1月の平均月給は最低賃金の4倍の400万ウォンである。現状の所得分配率を維持するためには、最低賃金を少なくとも18%引き上げなければならない。朴大統領が大統領選挙で『経済成長率と物価上昇率を考慮し、所得分配率を改善する』と公約していたのは全くの空約束であった」と批判した。韓国労働組合総連盟(韓国労総)は、「最低賃金を現実化するという朴大統領の公約により、労働界は2桁の上昇を期待したが、5210ウォンの最低賃金では、所得の不平等を解消し、低賃金労働者の生活を安定させるにはあまりに物足りない」と評した。

一方、韓国経営者協会は、「今回の最低賃金引き上げで従業員30人未満零細企業の追加人件費負担額は1兆6000億ウォンに達する。最低賃金労働者の99%が働く零細企業の存立そのものを脅かす決定だ」と批判している。

表:最低賃金額の推移
  2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014
時給(ウォン) 3,770 4,000 4,110 4,320 4,580 4,860 5,210
日給(ウォン) 30,160 32,000 32,880 34,560 36,640 38,880 41,680
引き上げ率(%) 8.3 6.1 2.8 5.1 6.0 6.1 7.2

参考

  • 雇用労働部ウェブサイト、韓国労使発展財団ウェブサイト、朝鮮日報日本語版(7月6日付)、ハンギョレ新聞日本語版(7月6日付)

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