期間制労働者、2年後に正規雇用11.4%
―雇用労働部が移動実態の調査報告
雇用労働部は7月11日、2007年7月1日に施行された「期間制および短時間勤労者保護等に関する法律」(以下「期間制法」)の効果を評価することを目的とした「雇用形態別労働移動パネル調査」の結果を発表した。同調査によると、期間制(有期契約)労働者のうち、2年経過後、同じ職場で明示的に正規雇用に転換された者および他の職場に転職して正規雇用となった者の割合は、11.4%にとどまることが分かった。
47.3%が2年後も継続勤務
この調査は、期間制労働者2万人を標本抽出して、1次(2010年4月)から8次(2012年4月)までの2年間、雇用形態別に労働者の労働移動、労働条件変更等の実態について追跡調査し、期間制法施行の効果を検証している。
期間制法に基づき、使用者は、期間制労働者を2年以上雇用する場合、無期雇用契約以上の労働条件に変更しなければならない。2010年4月時点で、期間制法に基づき2年の使用期間制限が適用される期間制労働者数は121万5000人であった。
2年経過後の2012年4月時点で、期間制労働者121万5000人のうち、57万5000人(47.3%)が同じ仕事に就いており、64万人(52.7%)が離職していた(表1)。離職者のうち、他の仕事に転職した者は44万4000人(69.4%)、育児・家事などの理由で経済活動を諦めた者は11万4000人(17.9%)、失業者となった者は8万2000人(12.8%)であった。離職者の平均勤続期間は2.1年であり、失業者となった者(2.5年)、非労働力化した者(2.4年)の平均勤続期間よりも短かった(表2)。離職者のうち、39万2000人(61.3%)は自発的に離職し、24万8000人(38.7%)は非自発的に離職した。失業者となった者のうち、53.2%は非自発的な離職者であった。
区分 | 合計 | 勤続者 | 離職者 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
就業 | 失業 | 非経済活動 | ||||
離職者 (1次→8次) |
1,215.0 | 575.3 | 639.8 | 443.8 | 81.7 | 114.3 |
(100.0) | (47.3) | (52.7) | (36.5) | (6.7) | (9.4) | |
<100.0> | <69.4> | <12.8> | <17.9> |
出所:雇用労働部
区分 | 1次 → | 8次 労働移動性 | |||
---|---|---|---|---|---|
就業 | 失業 | 非経済活動 | |||
離職理由別 | 自発的離職 | 392.0 | 270.9 | 38.2 | 82.9 |
〔61.3〕 | 〔61.1〕 | 〔46.8〕 | 〔72.5〕 | ||
(100.0) | (69.1) | (9.7) | (21.2) | ||
平均勤続期間(年) | 2.2 | 2.1 | 2.1 | 2.5 | |
非自発的離職 | 247.5 | 172.5 | 43.5 | 31.4 | |
〔38.7〕 | 〔38.9〕 | 〔53.2〕 | 〔27.5〕 | ||
(100.0) | (69.7) | (17.6) | (12.7) | ||
平均勤続期間(年) | 2.3 | 2.1 | 2.8 | 2.2 | |
離職者 (1次→8次) | 639.8 | 443.8 | 81.7 | 114.3 | |
〔100.0〕 | 〔100.0〕 | 〔100.0〕 | 〔100.0〕 | ||
(100.0) | (69.4) | (12.8) | (17.9) | ||
平均勤続期間(年) | 2.1 | 2.1 | 2.5 | 2.4 |
- 注:
- 平均勤続期間は2010年4月基準、主な仕事の入職から最初に離職した時点までの勤続期間を分析。
- 労働移動性は2010年4月基準、主な仕事で2012年4月時点の経済活動状態を(1)他の仕事へ就職、(2)失業、(3)非経済活動状態に区分。
- ( )は、労働移動のうち経済活動状態別の割合。[ ]は、勤続期間別·離職理由別の割合。
- 出所:雇用労働部
男性・若者・高学歴に多い正規への転換
同じ事業所で2年以上継続勤務していた57万5000人のうち、7万1000人(12.3%)は明示的に正規雇用に転換された(表3)。しかし、42万4000人(73.8%)は、期間制法に基づき「無期契約とみなされる者」の地位を得たが、明示的に正規雇用に転換されてはいなかった。8万人(13.8%)は、その他の形態の非正規雇用(期間制雇用を除く)に転換された。
期間制労働者121万5000人のうち、他の仕事に転職した離職者は44万4000人(36.5%)であった。このうち、正規雇用の職に就いた者は6万8000人(15.3%)、期間制雇用は15万8000人(35.5%)、その他の形態の非正規雇用(派遣・請負・日雇いなど)は18万6000人(41.9%)、非賃金労働は3万2000人(7.3%)であった。
期間制労働者のうち、明示的に正規雇用に転換された者および転職して正規雇用になった者は13万9000人(11.4%)であった。これらの労働者の特性を見ると、大企業や製造業に勤務する労働者や男性・若者・高学歴の労働者が多かった。「無期雇用とみなされる者」の地位を得た者(42万4000人)を含めると、期間制法に基づく雇用保護を受けた労働者は56万3000人(46.4%)であった。
区分 | 合計 | 正規雇用 労働者 |
期間制労働者 | その他の形態の非正規雇用労働者 | 非賃金労働者 | 失業者 | 非経済活動者 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
正規雇用に転換された者または転職して正規雇用となった者 | 無期契約とみなされる者 | ||||||||
2年以上勤続者 | 575.3 | 495.3 | 70.9 | 424.4 | 79.7 | ||||
<47.3> | (86.1) | (12.3) | (73.8) | (13.8) | |||||
他の仕事への離職者 | 443.8 | 68.1 | 68.1 | 157.6 | 186.0 | 32.2 | |||
<36.5> | (15.3) | (15.3) | (35.5) | (41.9) | (7.3) | ||||
全期間制労働者 (1次→8次) | 1215.0 | 563.4 | 139.0 | 424.4 | 157.6 | 265.6 | 32.5 | 81.7 | 114.3 |
<100.0> | (46.4) | (11.4) | (34.9) | (13.0) | (21.9) | (2.7) | (6.7) | (9.4) |
- 注:
- 2010年4月基準、期間制法適用除外者、勤続年数欠測値を除き、政府雇用対策が適用されていない期間制労働者に限定して分析。
- 勤続者:2010年4月を基準に、2012年4月時点で主な仕事の事業所を変更せず勤続する者。勤続年数は2012年4月時点の算定。
- 他の仕事への離職者:主な仕事や企業名が変わった者。
- 正規雇用に転換された者または離職後雇用された者:同じ企業に勤務して正規雇用に転換された者および他の企業に転職して正規雇用として勤務している者。
- 無期契約とみなされる者:同じ事業所で期間制労働者として2年以上勤務し、期間制法により無期契約労働者とみなされる者。
- その他の形態の非正規雇用労働者:正規雇用と期間制雇用を除く非正規の賃金労働者(派遣・請負労働者、非期間制契約労働者、家内労働者、日雇労働者等)。
- 期間制適用労働者(2年の雇用期間制限):(1)特殊形態労働従事者、(2)55歳以上の労働者、(3)5人未満の事業所の労働者、(4)韓国標準職業分類(大)中1,2の高所得者、(5)博士号所持者、(6)週15時間未満の短時間労働者――は期間制法が適用除外のため、調査対象から除外。
- 出所:雇用労働部
賃金、社会保険加入率など改善
期間制労働者121万5000人の賃金、その他の労働条件は全般的に改善している。2年の調査期間の期間制労働者の賃金上昇率は10.7%で、労働者全体の平均賃金上昇率5.8%より4.9%ポイント高かった。離職者の賃金上昇率は13.0%(148万ウォン→167万ウォン)、継続勤務者の上昇率は9.2%(158万ウォン→173万ウォン)であった。継続勤務者のうち、「無期契約とみなされる者」の賃金水準は、正規雇用に転換された者に比べて低かった。これは、「無期契約とみなされる者」に対し雇用安定以外の処遇改善策が必要なことを示している。
期間制労働者の社会保険の加入率は、雇用保険が50.8%から58.1%に、国民年金が54.2%から73.3%に、健康保険が65.5%から73.3%にそれぞれ上昇した。しかも、従業員10人未満の事業所の非正規労働者の社会保険加入率は、雇用保険が31.9%から43.2%に、国民年金が37.7%から59.2%に、健康保険が46.3%から59.5%へと大幅に上昇した。しかし、小規模事業所における社会保険加入率は依然として低い水準にとどまっており、加入促進のために社会保険料助成などの対策が必要とされている。
参考レート
- 100ウォン(KRW)=8.89円(※みずほ銀行ウェブサイト
2013年7月17日現在)
2013年8月 韓国の記事一覧
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