カリフォルニア州
―3年以内の最低賃金10ドルへの引き上げ
最低賃金を3年以内に10ドルに引き上げることを9月25日カリフォルニア州が決めた。
連邦最低賃金が7.25ドルに留まるなか、その水準で1日8時、月に20間働いても貧困ラインを上回る年収を得ることができないとして、連邦最賃の引き上げが議論されている。今回のカリフォルニア州の最低賃金引き上げは、その動きを先取りしたものと言えるだろう。
連邦最賃と州別最賃
まず、アメリカの最低賃金の仕組みから説明しよう。アメリカには連邦最賃と州別最賃の2つがある。全米で連邦最賃を上回る最低賃金を持つ州は19ある。
となると、ほとんどの州が連邦最賃と同じか、下回るということになるが、それは州別最賃が連邦最賃よりも強制力があるという意味ではない。
州別最賃が連邦最賃よりも低い場合、次のようなことになっている。基本的には、どの州に住んでいる労働者であっても連邦最賃が適用されるが、企業規模と年商、職務内容などによって連邦最賃には適用除外となる部分がある。その部分に州別最賃が適用されることになる。
州別最賃が連邦最賃よりも高い場合は少し複雑だ。連邦最賃の対象となっている労働者は、連邦最賃よりも高い州別最賃が適用される。かといって、連邦最賃の適用除外となっている労働者にまでその高い州別最賃が適用されるかどうかは、州ごとに異なっているのである。
つまり、単純に州別最賃が連邦最賃よりも高いか低いかだけではよくわからない。州ごとに適用条件をみていかなければならない。
まず、連邦最賃の適用条件と対象者をみてみよう。
まず、従業員を2人以上雇用しているか、もしくは年商が50万ドルを超える企業が対象となる。政府機関や学校、病院なども含まれる。
そのうえで、管理的、専門的、裁量的業務などを行っている労働者は対象からはずされる。そのほか、レストランなどでチップを受け取って働く労働者は、その分をあらかじめ見込んで最低賃金が低くされているほか、20歳未満で働いてから90人未満の労働者、職業訓練中、大学生なども通常よりも低く設定されている。
したがって、従業員2人以上、もしくは年商50万ドルのどちらの条件にもかからない企業や、通常よりも最賃が低く設定される労働者にむけた最賃を、それぞれの州が独自に定めている場合と、連邦最賃そのものを高く引き上げることがあるのが州別最賃である。
2016年1月1日に10ドル
そのうち、カリフォルニア州は、適用除外となる職務や職位、チップを受け取る労働者、若年、職業訓練、学生などを除けば、すべからく州別最賃が適用されている。つまり、従業員規模や年商による適用除外が存在していない。
向こう3年間の最賃引き上げスケジュールは次のようになっている。
現在の最低賃金は8ドルだが、2014年7月1日には9ドルへ、そして2016年1月1日には10ドルへと引き上げられる。
この金額は全米でもっとも高いものとなるだけでなく、カリフォルニア州の人口はアメリカでもっとも多いため、今回の決定は、連邦最賃引き上げ議論にも影響を与えるだろう。連邦最賃は7.25ドルだが、その金額で週40時間働いても、年収は2人家族世帯の貧困ラインを下回る。
その一方で、十分な人件費を支払う余裕のない中小企業は、労働時間や人員を削減することで対応してしまうのではないかと懸念する声もある。
(山崎 憲)
参考
- Laura Mahony, Californianext hit Governor Signs Bills to Raise previous hitMinimumnext hit Wage, Expand Paid Family Leave, Daily Labor Report, Sep.25
参考レート
- 1米ドル(USD)=102.45円(※みずほ銀行ウェブサイト2013年12月5日現在)
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