11年の派遣労働者数、2年連続で増加
―経済・金融危機の急落から回復基調―

カテゴリー:非正規雇用

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  • 国別労働トピック:2012年9月

フランス労働省(注1)の発表によると、経済危機で落ち込んだフランスの派遣労働(注2)が2年連続で上向いている。2011年の1年間に210万人が1680万件(前年比7.3%増)の派遣労働に従事し、派遣期間の平均は1.8週間(前年比0.1週間増)であった。また、フルタイム労働者数換算(注3)の派遣労働者数は、57万6100人であり、これは前年の52万7100人から9.3パーセント増加したことになる。特に、製造業や建設業で派遣労働が増加した。

フルタイム換算で前年9.3%の増

フランスで2011年の1年間に締結された派遣労働の雇用契約数は、およそ1680万件で、前年比110万件の増加 (7.3%増)だった。また、民間企業(一部の公営企業も含む)の賃金労働者に占める派遣労働者の比率は3.2%で、前年の3.0%から0.2ポイント上回った。さらに、雇用契約期間は平均1.8週間で、前年より0.1週間伸びた。

2011年の派遣労働者数は、フルタイム労働者数換算(注3)で57万6100人であり、これは前年と比べて4万8900人の増加(9.3%増)であった。2010年の前年比17.8%増に及ばないものの、依然として派遣労働の増加が続いている。2004年以降のフルタイム労働者換算数の推移については図1を参照。

図1:派遣労働者数の推移

図1:派遣労働者数の推移(2004-2011年)

性別でみると、65%が男性であり、35%が女性であった。フルタイム労働者数換算の労働時間では、男性が72%である一方で、女性が28%を占めているという結果であった。

2011年の1年間に、少なくとも一度は就労した派遣労働者の数は210万人で、09年=170万人、10年=190万人から、引き続き増えている。210万人のうち少なくとも4回以上契約したのは54%、1回のみは22%だった。就労期間の平均は2.6カ月で、その半数が1.6カ月以下なのに対して、7カ月以上が10人に1人を占めている。

製造業・建設業で増加

産業別では、製造業において最も多く派遣労働が利用されている。同産業における2011年の派遣労働者数は、フルタイム労働者数換算(以下の数字も同じ)で26万1000人であり、これは派遣労働全体の約45%を占める。次に多い産業が、19万5000人のサービス業(第3次産業)で34%を占めている。さらに、建設業の11万7600人で20%を占める(それ以外は、農業の2500人である)。2011年の製造業とサービス業における増加率は、前年と比べて低かったのに対して、建設業では前年より高い水準にあった。 

製造業のうち、特に、「輸送用機器製造業」や「電気・電子機器・機械製造業」、「その他の工業製品製造業」で増加率が高く、前年比、それぞれ35.1%、22.4%、15.3%の増であった。2010年の前年比についても、これらの製造業で大きく増加していた。ただ、経済・金融危機以前の2007年の水準までは回復してはいない。これらの製造業は、2008年から2009年にかけて大きく減少した。

サービス業では、「行政サービス・教育・医療・福祉」(前年比11.5%増)や「運輸・倉庫業」(同5.3%増)、「科学・技術関連業」(同4.3%増)、「商業」(同3.5%増)などの増加率が、特に高かった。

平均契約期間は1.8週間

2011年の派遣労働の平均契約期間は、前年よりおよそ半日増加し、1.8週間となった(2010年は1.7週間)。しかしながら、経済・金融危機以前の2007年の1.9週間と比べると、平均契約期間は短い。2011年に締結された契約の46.0%は1週間以下の契約期間で、36.1%は1週間以上2週間未満であった。つまり、82.2%は、2週間以下の契約期間であった。ただ、2010年と比べると1週間以下の契約の比率が若干低下し(2010年には47.5%)、1週間以上2週間以下のそれの比率がやや上昇した(2010年には34.8%)。

2011年に製造業で締結された契約は645万件で、1件当たりの契約期間は、平均2.1週であった。建設業では233万件の契約が締結され、平均契約期間は2.6週であった。サービス業では、796万件の契約が締結され、平均の契約期間は1.3週であった。

ブルーカラーの派遣数、依然として低水準

2011年の派遣労働者(フルタイム労働者数換算、以下同じ)を職業階級別にみると、1.8%が(上級)管理職(Cadres)で、8.1%が中間職(professions intermédiaires=上級管理職と一般職・現場労働者の間の職業階級)、12.2%が一般事務職(employés)、41.4%が熟練現場労働者(ouvriers qualifiés)、36.5%が非熟練現場労働者(ouvriers non qualifiés)であった。派遣労働者数は、前年比で熟練現場労働者が14.4%増、(上級)管理職が13.2%増、中間職で12.4%増と比較的大きな伸びを示したが、非熟練労働者と一般事務職では、それぞれ6.3%、0.3%の増と小幅な伸びにとどまった。2011年の(上級)管理職及び中間職、一般事務職は、経済・金融危機以前の2007年の水準に近づいた(これらの3職業階級の派遣労働者数の合計は、2007年に13万3600人、2011年に12万7300人であった)。それに対して、2007年に24万8000人であった非熟練現場労働者は、2011年に21万100人、同様に、2007年に25万6200人であった熟練現場労働者数は、2011年に23万8700人と、現場労働者(ブルーカラー)は、経済・金融危機以前と比べて、依然として低い水準にある。

非熟練、男性、若年者で高い水準

賃金労働者に占める派遣労働は、製造業において7.6%であり、この数値は前年の6.7%から上昇している。建設業の比率は7.9%で、これも前年の7.3%から上昇した。サービス業での比率は1.5%で、これは前年と変化はない。

また、就業する賃金労働者に対する割合を職業別にみると、非熟練現場労働者が11.8%であり、熟練現場労働者が7.0%であり比較的高い。それに対して、一般事務職は1.3%、中間職は1.1%、(上級)管理職は0.3%と低い水準にある。さらに、男女別では、男性の賃金労働者のうち、派遣労働者の比率は4.4%で、女性の1.9%より高い水準にある。年齢階級別では、若年層(但し、20歳未満を除く)ほど比率が高い。20歳以上25歳未満の年齢層では、賃金労働者の9.6%が派遣であったのに対して、50歳以上では、1.2%に過ぎなかった。

なお、フランスにおける派遣の取り扱い件数は、アデコ、マンパワー、ランスタッドに集中しており、2011年にはフルタイム労働者換算で33万1800人分、58%が三大派遣会社によるものである。

参考文献

  1. FINOT Jean (Dares), « L’intérim en 2011 : croissance soutenue », Dares Analyses, 2012-042, Dares du Ministère du Travail, de l'Emploi et de la Santé, 2012 (PDF:893KB)リンク先を新しいウィンドウでひらく
  2. 大山盛義(1999)「労働者派遣法制の研究(1)フランス法と日本法を中心に」『東京都立大学法学会雑誌』東京都立大学法学会 編、40巻、1号、pp.445~481
  3. 奥田香子(2004)「第2章 フランス」『ドイツ、フランスの有期労働契約法制(PDF:976.3KB)』労働政策研究報告書No.L-1
  4. 保原 喜志夫(1984)「オルー法とフランス労働法の新展開」『日本労働協会雑誌』日本労働協会、26巻、7号、pp.37~49
  5. 三富紀敬(1986)『フランスの不安定労働改革』ミネルヴァ書房

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