世界の若年失業率12年12.7%、2016年まで高止まり
―ILO報告書
国際労働機関(ILO)は5月22日、世界の若者(15歳~24歳)の雇用情勢に関する報告書を発表した。それによると、2012年の若年失業率は前年より0.1ポイント悪化して12.7%になると予測。若年の失業者数は、10万人増加し7,460万人に達すると見ている。ILOでは、2016年まで若年失業率の高止まりが続くと予測しており、世界各国の政府に若年雇用対策の必要性を呼びかけている。
ILOの報告書「世界の雇用情勢-若者編2012年版(Global Employment Trends for Youth 2012)」は、世界の若者の雇用情勢を分析し、状況改善に向けた提案を示している。図1のように、リーマンショックの影響で、若年失業率は2008年=11.7%から2009年=12.6%へと0.9ポイント悪化した。これに対し、この間の全体の失業率は5.8%から6.4%へと0.6ポイントの増加にとどまる。若者の落ち込みは顕著で、2009年以降も失業率の高止まりは続いている。ILOでは、専門知識や経験に乏しい若者の失業リスクは、他の年齢層に比べて「3倍近く高い」と分析する。
図1 世界の若年失業者数、および失業率の推移(1991-2012)
- p =予測
- 出所: ILO, Trends Econometric Models (2012年4月)
報告書を担当したILOのサラサール=シリナチス雇用総局長は、記者会見で「世界の若年雇用はこれまでのところほとんど回復しておらず、特に先進諸国の回復力が非常に弱い。今後の見通しについて、近いうちに改善するとは考えにくく、2016年頃まで世界全体の若年失業率は高止まりが続くだろう」と述べ、各国政府に若年雇用対策の継続とさらなる強化を求めた。報告書では例として、若者を雇用した使用者に対する賃金助成などの奨励策、技能訓練やメンタリング(相談)の活用、若者向け起業支援プログラムの提供などを挙げ、若年者の就業促進に向けた積極的な労働市場政策を各国の実情に応じて実施すべきだとしている。
5月30日に開幕するILO総会では、若者の失業問題が主要議題の一つになっており、各国の関係者で対策を協議する予定となっている。
参考資料
2012年5月 ILOの記事一覧
- 「新たな雇用危機の時代に突入」―ILO年次報告書
- 世界の若年失業率12年12.7%、2016年まで高止まり―ILO報告書
関連情報
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