フェイスブック活用の就職情報アプリ
―官民連携でスタート

カテゴリー:職業相談・職業情報・職業適性

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  • 国別労働トピック:2012年12月

就職情報サービスにソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)を活用する動きが進んでいる。労働省は11月14日、大学や使用者団体などと連携して、フェイスブック上で利用できる就職情報アプリケーションを公開した。2週間後、アプリには約191万職の情報が掲載された。

大学・使用者団体などと協議会設置

フェースブックは全世界で10億人以上の利用者を抱えるインターネット情報共有サイトである。就職情報の提供にあたり、労働省はソーシャルジョブズ・パートナーシップ(SocialJobs Partnership)を立ち上げた。これは、官民およびプラットフォームを提供するフェイスブックによる協議会である。参加するのは、官から労働省と職業安定所全国協会(the National Association of State Workforce Agencies)。民間からは大学使用者全国協会(NACE; the National Association of Colleges and Employers)とダイレクトエンプロイヤー協会(the DirectEmployers Association)およびフェイスブックである。

2週間後に約190万職を掲載

アプリケーションが公開された当日には約170万職が掲載された。それから2週間後の11月30日には20万職ほど増えて、約191万職となった。

情報を提供するのは労働省と職業安定所だけではない。民間就職情報サービス会社も参加する。ブランチアウト(BranchOut)、ダイレクトエンプロイヤー(DirectEmployers)、ワーク4ラブ(Work4Labs)、ジョブバイト(Jobvite)、モンスタードットコム(Monster.com)の5社である。

就職情報の検索はフェイスブック上から行なうことができる。検索項目はフリーキーワード、地域、カテゴリー、サブカテゴリーの4項目となっている。

企業、費用軽減などでSNS活用へ

なぜソーシャル・ネットワークを官民連携の就職情報サービスに活用するようになったのか。

その点について、大学使用者全国協会(NACE)と民間就職情報サービス会社ジョブバイトがそれぞれ調査を行っている。NACEはメンバー企業530社のうち50%がすでにフェイスブックを採用活動に活用していると回答した。そのうち54%が今後、より統合されたかたちで活用されることになると予測する。フェイスブックを採用活動に活用している企業のうち約9割がその理由が採用に関わる広告物の印刷費用の軽減にあると回答した。

ジョブバイト社の調査では企業の人事担当者および採用担当者800人以上から回答を得ている。そのうちフェイスブックを採用活動に活用していると回答したのは66%となった。どのような情報を重視するかという質問では、薬物使用や同性愛、書かれている文章の文法上の間違いやスペルミスをマイナス要因としてみる一方、ボランティア活動などには肯定的な印象を持つとする。

個人情報の入手が容易に

フェイスブックには利用者の日常的な出来事や交友関係が記録されている。これらの情報が就職情報検索とリンクするところにこのサービスの特徴がある。利用者は自らの情報を開示することと引き換えに検索機能を活用することになるからだ。この点では、サービス利用者の利便性が高まるということみならず、求人情報を掲載する側にとっては、書類や面接などを行うよりもはるかに多い情報を手に入れることができることになる。

ここに問題がないわけではない。企業側が容姿、年齢、性別、交友関係、嗜好などの個人情報を選考基準とすれば、応募者の公平性を損ねたり、差別につながる可能性もあるからだ。SNSの利用が拡大するなかで留意すべき点と言えるだろう。

参考

  1. Gayle Cinquegrani, “Social Jobs Partnership Launches App On Facebook With 1.7 Million Job Listings, Daily Labor Report, Nov.20
  2. 山崎憲「SNSの活用、企業の採用活動に不可欠―90%以上の人事担当者らが回答」海外労働情報2012年8月
  3. Sociljobsアプリ(http://www.facebook.com/socialjobs/app_417814418282098リンク先を新しいウィンドウでひらく)

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