労組側に巻き返しの動きも
―州公務員の権利制限

カテゴリー:労使関係

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  • 国別労働トピック:2011年9月

州公務員労働組合の権利を制限する動きが2月以降に進み、団体交渉事項の範囲縮小や団体交渉手続きの規制、団結権の制限などの法律が幾つかの州で成立した。 そのうち、オハイオ州、ウィスコンシン州でも同種の州法が成立したものの、労働組合側および労組が支援する民主党側からの巻き返しの動きがみられている。

州民投票―オハイオ州

オハイオ州では、団体交渉に制限を加える州法を撤廃する州民投票を実施するための署名活動が行われた。署名必要数約23万のところ、91万5000の署名が集まり、11月8日に州民投票が予定されている。

これに対し、州知事は譲歩を申し出て労働組合側と会談の機会を持つことを提案したが、労組側は拒絶した。この州民投票とは別に民主党州議会議員が同法律を廃止する法案を準備中である。

調査機関クイニピアク(Quinnipiac)が7月20日に公表した世論調査では州民の過半数となる56%が撤廃を支持している。

リコール‐ウィスコンシン州

ウィスコンシン州では、上院、下院、州知事のすべてを共和党が抑える状況を逆転して法律を廃案に追い込むため、共和党議員をリコールする運動が進められている。ウィスコンシン州法は在職期間が1年を超えた議員に対して、その議員の選挙区民の25%から署名を集めることでリコールが可能になると定めている。

この運動により、6名の共和党上院議員がリコール対象となった。

8月10日に行われた出直し選挙では、民主党が2議席を獲得。その結果、33の上院議員定数のうち、17が共和党、16が民主党という勢力図となった。共和党には、公務員労組権利を制限する法案に反対した穏健派議員が1名含まれるため、勢力はほぼ拮抗した状況になったと言える。

労働組合支援者及び民主党は2012年1月に在職1年を迎える州知事をリコールとする活動を準備中である。

参考

  • S.B.5 Opponents Are ‘No Shows’ At Meeting Called by Ohio’s Governor, Aug 19, Daily Labor Report、ウィスコンシン州立大学関係者へのインタビューほか

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