高度技能者、産業界と連携でミスマッチ解消へ
―大統領がスピーチ

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2011年7月

オバマ大統領は6月13日、ノースカロライナ州ダーハムで高技能労働者育成に関してスピーチした。科学技術職などでは企業の求める能力と求職者の能力のミスマッチが深刻化しており、産業界と連携した職業訓練の必要性を強調した。

求職者に対する職業訓練は現在も行われている。しかし、科学技術職種を募集する企業は求める能力を有する応募者を見つけることが難しい状況となっている。これは企業が求める能力が求職者の能力と乖離していることが原因である。

スピーチはこの現状を踏まえて行われた。

求職者に対する職業訓練は現在でも行われている。しかし、企業と求職者との間で求める能力と持っている能力のミスマッチがある。

このミスマッチを解消して職業訓練の効果を高めるため、実際に人材募集を行う企業を参加させるという方策が試みられている。これは、「デッキに全ての手を(All-hands-on-deck strategy)」と名付けられている。具体的には、連邦政府が民間企業と連携することを通じて毎年一万人の技能労働者を育成することを目標としている。

同様のスピーチは6月8日にバージニア州アレクサンドリアの北部バージニアコミュニティカレッジでも行われた。ここでは、求職者の職業訓練に企業とコミュニティカレッジが参加することおよび、連邦政府が継続的に財政支援を行うことの重要性が強調された。その目的は、ミドルクラスの育成と、現在のミドルクラスがその地位を維持することである。

大統領は政府がクリーンエネルギーや職業訓練に対する投資から手を引けば、授業料の高騰による個人負担の増額を招くと指摘した。また、外国との競争、国外の低賃金を容認すれば、米国の製造業の存在価値がなくなるとした。

コミュニティカレッジで行う訓練と企業をつなぐ方策は「アメリカの未来の為の技能(Skills for America's Future)」と名付けられている。その中身は工場の生産現場と教室をつなぐものである。そのため、企業側のニーズと職業訓練を直結させるだけでなく、労働者側は企業側が認識しやすくする技能資格を取得するよう促している。

たとえば、全米製造業協会(NAM)は会員企業とともに製造業における技能資格認定制度を設定している。政府がコミュニティカレッジを通じて労働者がこのような資格の取得を奨励している。これは企業や地域を超えて労働者が移動した場合にサポートとなることを期待しているからである。

現在、「アメリカの未来の為の技能(Skills for America’s Future)」は委員会形式で運営されている。ここには、ハイアットホテルリゾーツを経営するプリッツカーグループ、モトローラー、アクセンチュア、グルーポンなどの経営者に加え、全米コミュニティカレッジ協会などが参加しており、企業ニーズと職業訓練の連携が試みられている。

参考

  • Study: Obama’s Green Building Retrofit Plan Would Creat 114,000 Private Sector Jobs, June 13, Daily Labor Report
  • Obama Announces Initiative to Train Engineers and Other Skilled Workers, June 13, Daily Labor Report
  • Obama Announces Expanded Program, Defends Investments in Worker Training, Jun 8, Daily Labor Report

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