新たな雇用対策を発表
―若年者・長期失業者を主な対象

カテゴリー:雇用・失業問題若年者雇用

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  • 国別労働トピック:2011年4月

サルコジ大統領は3月1日、若年者や長期失業者を主な対象とした新たな雇用対策を発表した。従業員数250人以上の企業に対して、職業訓練を受けながら就業する従業員(主に若年者)を総従業員数に占める比率で4%以上雇用することを義務付けるとしたほか、4%を超える従業員を雇用した場合、超過従業員1人当たり年額400ユーロの手当を支給する。

これは、2005年に創設された制度の改正で、現行では3%以上の雇用が義務付けられていた。逆に、4%未満しか雇用していない企業に対しては、雇用比率に応じて、支給賃金総額の0.05%から0.2%の制裁金を課す。大統領府はこの措置により、13.5万人の雇用が増加すると予測している。また、長期失業者対策として、向こう3カ月間に、失業者登録期間が1年を超える求職者全員を雇用局(Pôle Emploi)に呼び出すなど、就職に向けた指導を強化すると同時に、助成金や手当が支給される特殊雇用契約に対する予算を2.5億ユーロ増額することとなった。さらに、45歳以上の求職者を熟練化契約(Contrat de professionnalisation)(注1)で採用した企業に対して、新規の雇用契約に対し2000ユーロの手当を支給することも盛り込まれた。これらの新たな雇用対策に関する政府の支出は、5億ユーロと想定されている。

若年失業者の増加が背景に

フランス国立統計経済研究所(INSEE)が2011年1月に発表した報告書によると、フランス本土(海外県を除く)における2009年の就業者数は2,569万人で失業者数は258万人にのぼった。また、15歳以上65歳未満の就業率は64.0%であったが、これは前年より0.8ポイントの低下であり、特に、男性(1.2ポイントの低下)や15歳以上25歳未満の若年者(0.9ポイントの低下)の就業率の低下が、その主な原因となっている。就業者のうち77.9%が無期雇用契約の賃金労働者で、11.0%が非賃金労働者、以下、有期雇用契約の賃金労働者(8.2%)、派遣労働者(1.6%)と続いた。有期雇用契約の賃金労働者や見習、研修生の半数が29歳以下の若者で占められている。また、若年者のうち、建設業やホテル・レストラン業で働く者の比率が他の世代より高いのに対して、50歳以上の高年齢者では、公務員の比率が比較的高い。失業者は、2009年におよそ50万人増加し、失業率は前年の7.4%から9.1%へ上昇した。特に15歳以上25歳未満の若年失業者は27%も増加し、同年齢層の失業率は23.7%に達していることなどが、新規雇用対策を打ち出した背景にあるとみられる。

出所

  • 海外委託調査員、フランス国立統計経済研究所(INSEE)

参考レート

  • 1ユーロ(EUR)=116.31円(※みずほ銀行リンク先を新しいウィンドウでひらくホームページ2011年3月30日現在)

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