最低賃金引き上げ相次ぐ

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2010年6月

中国で最低賃金を引き上げる動きが相次いでいる。江蘇省は2月1日から省を3つの地区に分けて、それぞれ最低賃金基準額を引き上げた。改訂率はいずれも12%を超える。これに引き続き浙江省、福建省、上海市、広東省などでも引き上げた。昨年は08年金融危機の影響もあって引き上げは見送られていたが、今年の引き上げ幅はその分大きくなっている。

江蘇省の平均改訂率は12.95%。南京市街地、蘇州などの一類地区で最低月給基準額をこれまでの850元から960元に110元引き上げた。

福建省は3月1日からの引き上げを決定した。基準はこれまでの5ランクから1ランク減り、一類900元、二類800元、三類700元、四類600元の4ランク、対応する最低時給基準額はそれぞれ9.6元、8.5元、7.5元、6.5元となった。引き上げ幅が最も大きかったのは480元から700元へ220元の改訂とした平潭など3県(市)、最小は480元から600元へ120元の引き上げとした28県で平均の引き上げ額は138元であった。最高の一類900元の基準が適用されるのは厦門市の思明など6つの区。

浙江省は4月1日より引き上げを行い、1100元、980元、900元、800元の4ランクとした。時給基準額はそれぞれ9.0元、8.0元、7.3元、6.5元。

上海市も4月1日から基準を15%引き上げることを決定した。月給基準額は960元から1120元に調整され、時給基準額は8元から9元に引き上げられる。また退職者の年金も10%引き上げられた。

山西省は4月1日からの改訂で月給基準額は最高で130元、最低で70元の引き上げとなり、それぞれ850元、780元、710元、640元とした。調整後、山西省の最低賃金基準は全国第8位となる。

広東省では5月1日からの引き上げとなった。平均改訂率は21.1%とこれまでで最高となる。広東省の基準は5ランクに分かれる。最高の一類基準が適用される広州市は19.8%増しの1030元となった。時給基準額は9.9元。二類対象地区は珠江デルタの珠海、佛山、東莞、中山市で19.5%増しの920元。時給基準額は8.8元。以下、三類810元、改訂率20.9%、時給基準額7.9元。四類710元、改訂率22.4%、時給基準額6.9元。五類660元、改訂率24.5%、時給基準額6.4元だ。広東省の人力資源・社会保障庁の林王平副庁長は、「広東省は改革開放が早く始まった省であり、大部分が労働力集約型の企業で構成される。また金融危機による影響を最も大きく受けた省でもある。現在、金融危機で痛手を受けた多くの企業は回復の段階にあり、人手不足解消が急務となっている。最低賃金基準を適度に引き上げることは、広東省における就業の魅力を引き上げることにつながり、別の省からの労働力を広東省に再度ひきつけ、広東省の人手不足問題を緩和する上で効果的」と述べた。広東省の最低賃金水準は今回の調整を経て江蘇省、北京市をやや上回る水準となるが、上海市、浙江省の一部には及ばない。

出所

  • 各省人力資源・社会保障庁、中国労働保障新聞、海外委託調査員

参考レート

  • 1人民元(CNY)=13.59円(※みずほ銀行リンク先を新しいウィンドウでひらくホームページ2010年6月4日現在)

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