EU域外からの労働者の受け入れ、さらに厳格化 

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  • 国別労働トピック:2010年1月

政府は12月、EU域外からの専門技術者の採用に先立って雇用主に義務付けている国内のジョブセンタープラスでの求人(いわゆる労働市場テスト)の期間を、2週間から4週間に延長した。移民政策に関する諮問機関(Migration Advisory Committee-MAC)の答申をうけた措置で、2010年の実施が予定されていたが、不況の影響から依然として厳しい雇用状況を勘案のうえ、前倒しで実施したものだ。

内務省は2009年2月、不況による雇用状況の悪化に対応するため、MACに対して(1)専門技術者の受け入れを不足職種のみに絞る場合の経済への影響、(2)移民労働者の被扶養者の経済への貢献と労働市場における役割、(3)経済状況の変化への対応のため、高度専門技術者の受け入れ制度について今後どのような変更が必要か――の3点を諮問した。MACは8月、専門技術者の受け入れにかかわる(1)と(2)について答申をまとめ、政府はその内容を全面的に受け入れて制度改正を行うことを決めていた。MACの分析によれば、ジョブセンタープラスを通じた求人のうち、2週間未満で充足される(あるいは取り下げられる)比率は全体の13%、2~4週間未満では20%であるのに対して、4~8週間未満は4割を占めている(注1)。

国内での求人期間の延長以外に、専門技術者の受け入れ制度をめぐってMACが同答申で提言した主な制度改正案は、(1)国境を超えた企業内人事異動に係る勤続期間要件を6カ月から12カ月に延長するとともに、滞在許可に最高5年(2年の延長を含む)の年限を設けること、(2)受け入れ先企業での年間の給与水準に関する加点基準の下限を1万7000ポンドから2万ポンドに、また上位区分の基準もそれぞれ引き上げること(注2)――など。これらについては、2010年4月以降の実施が予定されている。

さらに、MACは内務相からの諮問内容のうち、残る1点である高度技術者の受け入れ制度についても、12月4日に答申をまとめた。制度改正案として、現行制度の要求する大学院卒の教育資格を持たない高度技術者を排除しないことを目的に、(1)相応の職業資格や一部の学部卒資格を大学院卒の資格と同等と認めること、(2)最高学歴が学部卒の者についても従前の給与に関する基準の引き上げ(MAC案:2万5000ポンド)を前提に高度技術者としての受け入れを可能とし、また従前の給与が高額(同:15万ポンド以上)であれば、教育資格の有無を問わないこと、(3)年齢に関する加点の上限を39歳まで引き上げること――など、加点基準の見直しを政府に提言する内容だ。同時に、(4)受け入れに係る滞在許可を現行の3年から2年に改め、対象者が高度な技術を要する職に従事していることの証明を条件に3年の延長を認めることを求めている。

参考資料

参考レート

  • 1英ポンド(GBP)=149.88円(※みずほ銀行リンク先を新しいウィンドウでひらくホームページ2010年1月4日現在)

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