技能労働者の人材育成

カテゴリー:人材育成・職業能力開発

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  • 国別労働トピック:2009年7月

市場競争の激化に伴う人的資源の必要性から人材育成に力を入れる中国では、技能労働者の教育を特に重視している。人力資源社会保障部の王副部長は4月27日、全国職業能力開発会議において、職業能力開発に関する最近の状況を明らかにした。

それによると、現在、技能労働者の総数は全国で約9890万人であり全国の都市部就業者数の3分の一を占める。技能労働者は技能レベルに応じて、高級技師、技師、高級労働者、中級労働者、初級労働者に分かれるが、このうち高級技師、技師は429万人で、技能労働者の4.3%を占め、高級労働者は1810万人で、18.3%。また、高級技師、技師、高級労働者など高度人材が技能労働者全体に占める割合は22.6%であり、中級労働者は3747万人で37.9%、初級労働者は3904万人で39.5%となっている。

全国で何らかのスキルを持つ技能労働者の数が1億人近くに達する一方、技工(技術労働者)学校の数は3075校となり、2008年の募集者数は161万人であった。技工学校卒業生の平均就職率は96%に達している。この期間に、全国で合わせて1337万人が職業技能検定を受け、うち1137万人が職業資格証書を取得した。

地方レベルの取組に関しては、例えば広東省では、2003年から毎年技工学校のために2億元の特別補助金を計上してきたが、2008年からはこれを3億元に引き上げており、これまでに累計で約15億元が投入された。また広東省では財政面における支援を拡大するともに、企業、個人が積極的に投資して教育に従事することを奨励しており、さらに金融機関や国外の資金を調達して技術労働者の教育を発展させるメカニズムの構築を模索している。

また江蘇省は、大学企業協力指導委員会の調整を受け、技工学校と企業が共同で高い技能の人材を育成する制度を検討中だ。技術系の高等教育機関は就職を視野に入れた学校経営に力を入れ、企業のニーズに基づいてタイムリーに専門分野や職種の設定を調整し、職場により適応した技能人材の育成を目指す。また、企業側も技工学校に実習の場を提供し、実習指導教師を派遣するなど、多くの企業が技工学校と協力して「技師直通クラス」の運営にあたっている。

前出の王副部長は、今後さらに職業教育を推進するための4つの指針を明らかにした。それは、(1)技術系の高等教育機関の学生募集の規模を拡大し、2009年に200万人を達成すること、(2)学校と企業の協力推進に力を入れること、(3)技術系の高等教育機関の教育改革を引き続き進めること、(4)技術系の高等教育機関と民間の訓練学校の管理を規範化し、技能者の職業資格認証制度を整備すること。

さらに政府は、「高技能人材育成プロジェクト」を展開し、10年後には全国で100の技師学院、600の高級技工学校、800の企業従業員研修センター、3000の技能作業室をサポートし、高技能人材の育成機関と研修の場を確保、高技能人材の育成ネットワーク体系を形成していくとしている。

資料出所

  • 『中国労働保障報』5月6日8日、第1、第3版、海外委託調査員

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