『女性従業員労働保護条例』改定をめぐって議論

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2009年12月

政府は10月26日、『女性従業員労働保護条例』の改定案に関する専門家懇談会を開催した。懇談会に参加したのは、政府から国務院法制弁公室、人的資源・社会保障部、衛生部の代表、労働者を代表し全国総工会法律業務部、女性従業員部の責任者ら。そのほか医学、法律関係の専門家などが出席した。

近年の急激な社会、経済の発展に伴い、中国国内の女性従業員の就労には新たな問題が生じるようになり、1988年に制定された現行の『女性従業員労働保護条例』はすでに現状に合わなくなっており、条例の改定を急ぐべきだとの声が出ていた。懇談会で話し合われた内容については、更に検討が進められる予定となっている。

  1. 定期健康診断の実施

    改定案では、経営側は少なくとも2年に1回、女性従業員の健康診断を実施しなければならないとしている。専門家によると、近年、労働をとりまく社会環境が変化したことで、現代人は生活面、仕事面で以前より多くのストレスに直面することが増え、流産や不妊が増加しているという。このため、少なくとも2年に1度、健康診断を義務付けることが必要と指摘している。

  2. 育児(乳児)女性従業員への措置

    改定案は乳児を育児中の女性従業員には毎日少なくとも1時間の哺乳時間を与えなければならないとしている。改定案の第13条は、「満一歳未満の乳児に哺乳中の女性従業員について、使用者側組織は勤務時間中に毎日1時間以上の哺乳(人工栄養含む)時間を与えなければならない。複数の乳児がいる場合には、1日の哺乳(人工栄養含む)時間をさらに1時間増やさねばならない」と規定している。この規定については、哺乳の1時間には女性従業員が勤務先と自宅を往復する時間が含まれるのか否かについての議論があった。全国工商連法律部副部長は、1時間の哺乳時間を1時間の繰り上げ退勤に改めることを提案している。

  3. 生理休暇の取得

    改定案の第7条は、「女性従業員の生理期間中、使用者側は、国が生理期間中に忌避すべきであると規定する高所での作業、低温での作業、肉体労働強度がランク3以上の労働、並びにその他従事を忌避すべき労働へ従事させてはならない」と規定した。これに対して懇談会では一部の専門家から「女性従業員が生理痛で正常に勤務できず医師の証明がある場合には、1日から2日の病気休暇としかつ有給とすべき」との指摘があった。

資料出所

  • 海外委託調査員

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