失業給付期間の延長を決定
―長期失業者数559万人への対応

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2009年12月

米国における失業者数は2009年10月、1570万人に達し、27週間以上失業状態にある長期失業者数は559万人にまでおよんだ。失業期間の長期化に伴い、失業給付期間を満了してしまう労働者数の増加が懸念されるため、給付期間の延長に関する議論が9月から本格化していた。9月末までに給付期間を満了する労働者が40万人、年末までにその人数は100万人に拡大するとの予測もなされていた(注1)。失業者の10人のうち4人は勤続年数が3年以上、10人に1人は10年以上勤務したにもかかわらず職を失ったとして、現在問題となっている失業は従来のものとは異なるという指摘もある(注2)。

そのような中、オバマ大統領は11月6日、失業保険給付期間の延長を含む「労働者・住宅所有者及びビジネス支援法案」(注3)に署名しこれが成立した。失業保険の給付期間を全ての州を対象として最大で14週間延長し、特に失業率が高く3カ月平均で8.5%を超える州ではさらに6週間を上乗せして20週間の延長とするものである。必要となる費用は、経済刺激プログラムあるいは不良資産救済プログラム(注4)から24億ドルを当てる予定である。また連邦失業保険税が現行で6.2%となっているものを、これまでの法案では2011年1月1日から6.0%に引き下げるとされていたが、その引き下げ時期を2011年6月30日まで繰り下げ、この措置によって生み出される財源の一部を失業給付に充てる条項も盛り込まれている。

本法案は下院において9月22日、3カ月平均で失業率が8.5%を超える州を対象として失業給付を13週間延長するという内容で可決されていた。その後、10月上旬、上院において今回最終的に成立した内容、つまり給付期間延長と対象となる州をさらに拡充した内容の法案が提出されたが、これに対して共和党議員は反発し審議が約3週間止まってしまった。共和党議員が求めた修正内容は、新規住宅取得者を対象とする税控除の拡充やE-Verifyシステム(注5)の恒久化などであった。最終的には前者が抱き合わせとして条項に盛り込まれる形となった。

オバマ大統領は法案に署名するにあたり、この給付延長による給付金は受給者のポケットに行ってしまうだけではなく、食品や衣料品や各種賃貸料の支払いに当てられることによって、米国経済回復のための新たな雇用を創出することにつながるものであると述べた。また、ペロシ下院議長は、1ドルの支出に対して1.6ドル分の雇用創出効果があるとして、労働者個人に対してだけではなく、事業主にとっても有益な施策であると強調した。さらに、下院のホイヤー多数党院内総務は、給付対象となる失業者の多くは予告もなしに解雇されたミドルクラスのアメリカ人労働者であり、今回成立した法案はこれらの人々のために有益なものであると指摘している。

参考資料

参考レート

  • 1米ドル(USD)=86.42円(※みずほ銀行リンク先を新しいウィンドウでひらくホームページ2009年12月1日現在)

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