雇用状況の悪化続
―失業率7.9%
統計局が9月16日に発表した雇用関連統計によれば、5-7月期の就業者数は前期(2‐4月期)から21万7000人減の2889万1000人、うちフルタイムの雇用者数は28万3000人減、パートタイム雇用者数は5万6000人増となった。
失業率は7.9%と前期から0.7ポイント、前年同期比で2.3ポイント増加し、1996年9-11月期以来の水準に達している。特に、16-17歳層で34.1%(21万6000人)、18-24歳層では17.5%(73万1000人)と、若年層で高い(注1)。 失業者数は247万人で、前期からの増分である21万人の4割強(9万1000人)を失業期間6~12カ月の失業者が占める。剰員解雇者数は24万 6000人で、前期からは5万5000人減少したが、前年同期からは10万7000人の増。8月の求職者給付申請者数は160万7400人で、増加幅は2 月をピークに減少傾向にあるものの、依然として増加が続いている(前年同期比で75.9%増)。
さらに、非労働力人口(16歳以上人口のうち、就業・求職活動をしていない者など)の増加も顕著だ。09年5-7月期の16‐64歳層(女性は 16-59歳)の非労働力人口は798万6000人、前年同期比で12万5000人増加している。若年層や25-34歳での増加が著しい一方、35歳以上 層では逆に減少傾向にあり、いずれも女性の各年齢層の動向が大きく影響している。就学等を理由とする者の増加が15万4000人と大部分を占め、このほか 「職探しを諦めた」「家事・介護」などが多い。一方、病気などを理由とする者は減少している。
財務省が8月、民間シンクタンクなどの中期予測をまとめたところによれば、経済成長率は09年のマイナス4.2%から2010年には0.6%とプラスに転じるものの、求職者手当申請者数は同年にピークの216万人に達し、以降も緩やかに減少するに留まるとの見方が強い。
政府はこれまで打ち出してきた一連の雇用対策に加えて、9月に開催された労働党大会において、「地域雇用パートナーシップ」(企業とジョブセン タープラスの間で合意を締結し、企業に長期失業者などの雇用を促すプログラム)を通じた就業支援の大幅な拡充の方針を明らかにした。07年から開始された 同プログラムは、2010年4月までに25万人の就業支援を目標としていたが、すでにこれが達成されたとして、この3倍にあたる75万人を2010年末までに就業に結びつけるとの新たな目標を示した。ジョブセンタープラスを所管する雇用年金相は、10万人が就業するごとに、福祉給付などにかかる7億ポンド の節約が可能となるとしている(注2)。さらにブラウン首相は、環境関連の非営利団体の協力を得て1万人分の雇用創出を行うとともに、小企業連盟(Federation of Small Businesses)と連携して1万人のインターンシップ受け入れを目指すとの方針を示した。
注
- このほか、25-49歳層で6.3%(115万4000人)、50歳以上層で4.4%(36万9000人)。なお、6-8月期の求人数は43万4000人、 前年同期比で17万4000人と3割近く減少した。特に減少が顕著だったのは、金融業の6万1000人、流通・宿泊・飲食店業4万5000人、製造業2万 5000人など。
- ただし、現地メディアの伝えるところでは、この拡充は主に高齢者の就業支援を想定したものである、と雇用年金相は説明しているという。
参考資料
- Office for National Statistics
、HM Treasury
、JobcentrePlus
、Labour Party
、BBC
、Guardian.co.uk
、Personnel Today
ほか各ウェブサイト
2009年10月 イギリスの記事一覧
- 雇用状況の悪化続く ―失業率7.9%
- 移民提言委員会、さらなる制度引き締めを答申
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