公務員改革に関する政府と労働組合との合意

カテゴリー:労使関係

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  • 国別労働トピック:2007年3月

公務員制度改革に関して政府と労働組合が合意に達した。これによって、公務員の労働移動(経営危機にある機関の余剰従業員を、同一産業の別の機関に移動させて、集団的解雇を回避するための手続き)、退職促進措置、給与に関する能力主義、公務の質に対する市民からの「評価システム(pagelle:「通信簿」の意味)」、役職者・幹部の解雇可能性のほか、テレワークなどが、実現に向けて前進したことになる。また、数日以内には、首相官邸にて、地方自治や保健分野に関する合意に署名がなされる予定である。

今回合意に至った会合には、トンマーゾ・パドア=ショッパ経済財政大臣、ルイージ・ニコライス公務革新大臣、CGIL(イタリア労働総同盟)、CISL(イタリア労働者組合同盟)およびUIL(イタリア労働連合)の各総裁(グリエルモ・エピファーニ、ラッファエーレ・ボナンニおよびルイージ・アンジェレッティ)ならびに公務部門の労働組合代表が出席した。「公益事業および公務の新しい質に関する」枠組協定は、結果の評価に市民や企業を参与させ、「能力主義」や「質」の概念を公務に持ち込むことを目的としている。同協定は各種の修正を受けたうえで、最終草案として今回の署名の数時間前に到着した。この最終草案に対して、労働組合はいくつかの修正を加えている。この修正は、一般指針に関する提案であり、署名された合意文書に盛り込まれた。

国家公務員、州公務員および地方公務員の労働移動の促進に関しては、「組織の再編や機関レベルでの機能の移転を実施するために、直接ないし間接の経済的便宜を通じて、支援の仕組みやインセンティブ措置を策定していくことになろう」。協定では、「職員数が欠如している行政組織の『需要』と、配置転換をしようとする管理職側の『供給』との合致を促進する仕組みとなり、行政の役割を効率的に実施し、分散させることにも寄与する」とされている。

一方、退職勧奨については、労働移動の仕組みを利用しても配転が難しく、余剰と判断されるような場合に用いるべきものである。退職勧奨の目的は、世代間交代である。この制度は、2008年以降に実施予定である。これによって、10人の退職者に対して6人の採用を実施し、その採用の一部を若年者のために確保するという仕組みが採用されうることになろう。なお、ニコライス大臣は、高齢労働者に関する年金受給の可能性も排除しないと述べている。

役職者・幹部に対する締付けや、その数の削減については強化する方向で確認されている。自動的な昇進の仕組みは廃止される一方で、評価に基づいて役職や昇進が決定されるような仕組みが採用される予定である。パフォーマンスが極めて悪い者については、民間で実施されているのと同様に、解雇の可能性も定められている。また、スポイルズシステム(政権を握った党が公職の任免を支配する、いわゆる「猟官制度」)は、政府との直接の関連性を有する地位に限定して用いられる予定である。

憲法で定められている公務員採用試験への参加は、現状維持となりそうである。つまり、引き続き、一定の優先分野を選択し、採用数を計画化するという方法がとられる。採用試験への応募殺到に対する緩和策としては、受験者の要件を定めることによって対応することになった。

また、政府は、公務の成果を評価するために、評価の場および時期について定め、これに対する行政、労働組合および利用者の参加を保障している。

さらに、効率性の向上に関しては、外部化ではなく、基本的には諮問の利用による達成を目指すほか(外部化は、中核的でない活動に限る)、不安定労働(会計監査長によれば50万人と推計されている)の解消や、行政システムのIT化によるテレワーク利用の拡大などについても定められた。

出所

  • 2007年1月19日付Corriere della Sera

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