チェコ/ブルガリア人及びルーマニア人労働者への労働市場開放

カテゴリー:外国人労働者

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  • 国別労働トピック:2007年3月

2007年1月1日、チェコ政府は、新たにEUに加盟したブルガリア、ルーマニアに対し労働市場を開放し労働者の自由な移動を認めることとした。この決定は両国が2007年1月1日にEUに正式加盟するのを前に、2006年12月7日にチェコ政府が行ったものである。Petr Necas労働社会問題大臣は、チェコがEU新規加盟国からの労働者の自由な移動を制限した場合、従来からのEU加盟国に対して労働市場の制限撤廃を求めて協議する際に、自国の交渉上の立場を不利にすることになるとその理由を述べている。ただし、ブルガリア及びルーマニアからの労働者の流入によって国内労働市場の安定性が脅かされた場合に実施する「危機計画」を政府は策定中である。チェコ内務省の統計によれば、2006年9月30日までにチェコの永住資格または長期滞在資格を取得したブルガリア人は4642人、ルーマニア人は2808人となっており、労働市場の開放後に両国から更に大規模な労働者の流入があるとは考えにくいとみられる。

この決定に対し、議会も概ね各政党が、労働市場を開放し、労働者に移動の自由を認めることを支持している。一方、チェコ最大の労働組合組織、チェコ・モラビア労働組合連合のMilan Stech議長は、新規加盟両国からの労働者に移動の自由を認めることに対して、強い懸念を表明した。同議長は、チェコは自らの国益を守るため、企業や労働者に対して事業をおこなう国や雇用されている国の法令遵守を求める欧州サービス指令を要求していくべきだとし、次のように警告している。「労働者は、ブルガリアやルーマニアの法令をもとに、4分の1の賃金で働いてもよいと言い出すようになる。当然、雇用者側では、その機会に乗じて収益の増加とコストの切り下げをおこなおうとする。」このため同議長は、チェコの雇用者が国内の雇用法規を遵守しているか注意深く監督すべきだと主張している。

出所

  • European Industrial Relations Observatory on-line

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