労働集約産業ほど不振

カテゴリー:雇用・失業問題統計

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  • 国別労働トピック:2007年3月

ブラジル地理統計資料院(IBGE)は2月、国際競争に直面している製造業部門で、労働集約産業ほど不振の度合いが高く、競争力を失っているとの結果を発表した。データによると、製造業部門は2006年に530万人を雇用しており、2004年と同じ水準を維持している。しかし、国際競争に押されている部門の雇用が全体の33%以上を占めており、今後に不安を抱える状況になっている。典型的労働集約産業である衣料、製靴は、中国製に押され2002年以来毎年雇用を減少させている。しかしそれでもまだ、製造業全体の雇用の15%を占めている。内訳を見ると家具と繊維工業が約10%、機械設備工業が6.5%となっている。一方、輸出が好調な製鉄、自動車、パルプ、鉱業といった分野では雇用数が少なく、製造業全体を牽引する力はない。鉄鉱石、石油採掘は全体の2.1%であり、外資の投資増加が続いている製鉄の好調に乗って順調である金属工業も、製造業雇用全体の3%に過ぎない。自動車を含む輸送資材工業も、1.3%を占めるだけである。

IBGEの説明によると、労働集約部門では輸出が順調な食品加工業が、唯一最近僅かながら雇用を増やしている。企画省の応用経済研究所では、2006年に世帯あたりの消費が4.2%増加したと発表しており、国内消費の拡大も、食品加工業の成長に貢献しているようだ。下の表は、主要製造業部門の年度別雇用動向を示す。

主要製造業部門における雇用の推移
  総数 前年比増減(%)
部門 (10万人) 2002 2003 2004 2005 2006
工業全体 530 -1.0 -0.6 +1.8 +1.1 -0.2
衣料 37.2 -2.4 -4.9 -7.5 -3.6 -5.4
製靴 28.3 -0.9 -1.1 -1.0 -11.5 -13.2
機械・設備 32.2 +0.7 +6.0 +13.5 +0.7 -6.9
繊維 25.7 -1.6 -3.7 0.0 +0.7 -1.4
金属 16.8 -1.0 +1.6 +6.9 +4.5 +1.8
採鉱 11.5 +0.2 +2.7 +4.3 -0.3 +3.7
輸送資材 7.6 -1.6 +1.3 +8.0 +9.0 +2.6

出所・ブラジル地理統計資料院(IBGE)、2006年は月間結果を元に試算

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  • 海外委託調査員

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