外国人労働者の権利保護と受け入れ拡大を発表

カテゴリー:外国人労働者

台湾の記事一覧

  • 国別労働トピック:2007年2月

行政院労工委員会(CLA)が2006年末に発表したところによれば、同委員会は、夜間営業や24時間営業をおこなっている特定の産業からの要望にこたえ、新たに1万人の外国人労働者を受け入れることに同意した。

労工委員会では、外国人労働者の受け入れを申請できるのは特定産業のみとしており、また、特定産業とは、午後10時から午前6時までの間に労働者の夜間勤務が毎日1時間以上ある産業と定義している。

労工委員会によれば、特定産業の定義にあてはまる可能性がある工場は、食肉加工業や冷凍食品産業など45業種となっている。

外国人労働者の採用を希望する事業主は、会社の登記簿謄本を用意し、2007年1月18日までに経済部工業局に対して申請書を提出しなければならない。

事業主はまた、労工委員会に対しても外国人採用の手続をとる必要があり、許可を取得できるのは、国内労働者の確保が不可能であることを証明した場合だけである。

労工委員会では最近、現在の外国人労働者と、将来増加する可能性のある外国人労働者の生活管理の重要性を考慮して、「第二種外国人を初めて採用する事業主および過去に採用の実績のある事業主における生活管理計画書の見直しの指針」を発表し、事業主が生活管理計画書を実践するよう支援するとともに、台湾における外国人労働者の権利を保護するため、地方政府による管理・監視を強化するとした。

「見直しの指針」の改正点は以下のとおりである。

  1. 台湾人とは異なる外国人の食事の好みを尊重するため、外国人の食事の管理権を確保し、彼らにその決定権を与える。食事を無料支給するかどうかに関わらず、事業主は、外国人の食事の好みを考慮し、食事の衛生、十分な量、食費の公平に留意する。外国人従業員が食費を負担し、かつ外国人従業員の数が30人未満の場合、事業主は、食事のタイプを決定するとき、大多数の外国人の好みに配慮することとする。また外国人従業員の数が30人以上の場合、事業主と従業員は、食事委員会を共同で組織し、委員の3分の2は外国人とする。

  2. 専門の従業員が食堂の衛生と安全を検査し、食事の安全性に加えて、快適な食事のために環境衛生を強化する。

  3. 生活の安全は生活にとって不可欠の要素であるから、外国人の生命を保証するため、寮は使用許可を受け、防火基準を満たすこととし、一人当たりの居住スペースは3.2㎡とし、各自に十分な空間を確保する。

  4. 外国人のプライバシーと男女の平等を保障するため、事業主は、外国人従業員に男女別のスペースを提供する。

  5. 外国人従業員を対象とした生活ガイドラインを、本人が理解できるよう、母国語で作成する。

  6. 国を離れて一人で生活し、不慣れな環境で働く者のために、母国語での住環境、施設、およびラジオ番組またビデオ番組を用意する。

労工委員会によれば、雇用主は外国人労働者の雇用に関する「改正管理許可規則」の規定に従い、2006年11月1日以降、外国人従業員の入国報告書を、外国人従業員の入国日から3日以内に提出することになった。また事業主は、地方自治体に対して生活管理検査の実施を求めるとともに、事業主が採用を予定している外国人従業員の入国報告書と、雇用許可申請に必要なその他の証明書類を受領したことを示す証明書の発行を求めなければならない。地方自治体は、証明書の発行から2カ月以内に、外国生活管理計画書にしたがって検査を実施する。

労工委員会の統計によれば、2006年11月現在、台湾で働く外国人労働者の総数は、33万8041人である。

同じ時期に、陳水扁総統は、外国人配偶者の人権保護のための取り組みを強化することを約束し、この取り組みを、民主進歩党政権に課された責務だとした。

陳総統がこの方針を発表したのは、2006年12月10日に国際人権デーを記念して総統府で開かれた式典に参加したときであった。

フィリピン、タイ、カンボジア、ベトナムを出身とする外国人配偶者の聴衆を前に、陳総統は、2000年5月の就任以来、台湾を人権に基づく国家にしようと努めてきたと語った。

陳総統は、この目的のため、2007年1月2日から移民管理局が新たに業務を開始し、移民問題の解決に取り組む一方、内政部、労工委員会、教育部、衛生署などの政府機関も、外国人配偶者が台湾での新生活に適応できるよう、積極的な支援活動をおこなうと述べた。

「外国人配偶者も、一旦台湾に居住するようになれば、完全な台湾人だ。」、「その人権を保護することは、政府に課せられた責任だ。」とし、さらに陳総統は、「台湾では、移民新時代が定着したことは間違いない。」、「人権は普遍的な価値であるから、政府としては、外国人配偶者のニーズに耳を傾け、全力で支援していく。」と表明した。

公式統計によれば、台湾における昨年の結婚件数の内、2万8427件(20.14%)が外国人配偶者となっている。

陳総統は、新婚カップルの5組に1組は国際結婚ということになると指摘した上で、昨年の新生児総数は2万6509人であり、この内8人に1人は外国人を親に持つことにも言及した。

1987年1月から2006年11月までの間に外国人と結婚した台湾人は、合計で38万2304人であった。

2007年2月 台湾の記事一覧

関連情報