2007年労使関係の見通し

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  • 国別労働トピック:2007年1月

2007年の韓国関係の動向に対する関係者の見方では、景気の減速、労働新法(ロードマップ)についての論争、KCTUの新しい委員長選挙、大統領選挙を前にした政治的不透明感により混乱が予想されているようである。

韓国労働研究院(KLI)のウン・スーミ研究員によれば、大統領選挙によって、非正規労働者や公務員の法的権利についての論議の更なる政治問題化が予想される中で、2007年は労使のリーダーもさらに厳しい紛争に巻き込まれることになると見られる。同研究員は「韓国が金融危機に見舞われた1997年を除けば、大統領選挙のあった1987年、1992年、2002年に、ストライキをはじめとする労使紛争が例年に比べ大きく増加した。」と述べている。

政府関係者は、進行するウォン高、高い失業率、そして富裕層と貧困層の所得格差の拡大を懸念している。

組合員の減少と政治的影響力の低下に苦しむ労働組合もまた、岐路に立たされている。

労働市場の柔軟性を高めようとする政府及び企業の一貫した取り組みによって、正規労働者と非正規労働者という二極化が進んでいる中、労働組合は産業別組合の設立により、伝統的な個別労組ごとの交渉方法から産別による規模と交渉力を高めようとしている。これは、今や労働力全体の60%を占める、パートタイムや契約社員などの臨時雇用者、すなわち雇用保障も長期契約もなしに雇用されている労働者の権利を組合がよりよく代表する助けとなると思われる。

民主労総(KCTU)のイ・サンハク局員によれば、「1997年の金融危機以来、労使間の力のバランスは、急速に使用者側寄りになりつつある。組合による個別労組ごとの交渉方法では、その流れを止めることはほとんどできない。」と組合の劣勢を述べている。専門家は新たに設立された産業別組合が交渉体制をめぐって使用者側とほどなく衝突することになるだろうとみている。さらにより多くの非正規労働者の組織化を認めることで、産業別組合の設立は今まであまり注目されてこなかった労働問題の争点を増やす可能性もあると考えられている。

労使関係の中でもう一つ大きな要素は、KCTUの新しい委員長選挙が1月に行われることである。KCTUの組合員はFKTU(韓国労総)と比べて過激派とみられており、穏健派と見なされている現在のチョ・ジュンホ委員長より闘争的な人物を選出するかもしれない。チョ委員長は労働者、政府、使用者からなる三者間協議の結果をめぐって組織内から批判を浴びてきた。労使関係法制度先進化策(ロードマップ)の論議の中で自分たちの声が効果的に代弁されなかったと、不満を述べる組合員が多数いるようである。

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