ルーマニア/労働団体の大規模な合併計画

カテゴリー:労使関係

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  • 国別労働トピック:2007年1月

ルーマニアの労働団体(ナショナルセンター)5団体のうち、4団体がこのほど合併することで協定を結んだ。ナショナルセンターに加盟していない労働組織にも、協定への参加を呼びかけている。合併後の新組織は、現在交渉段階にあるが、最終的にその名称は「総労働連合」になるとみられる。

現行のナショナルセンター5団体

ルーマニアの現行法によれば、全国的な代表権基準を満たすナショナルセンターは次の5つであり、この5組織が団体交渉を行う権利を持つ。

  • ルーマニア自由労働組合全国連合友愛(Confederatia Nationala a Sindicatelor Libere din Romania Fratia, CNSLR Fratia);
  • 全国労働組合ブロック(Blocul National Sindical, BNS);
  • ルーマニア民主労働組合連合(Confederatia Sindicatelor Democratice din Romania, CSDR);
  • 全国労働組合連合カルテル・アルファ(Confederatia Nationala Sindicala ‘Cartel Alfa’, Cartel Alfa);
  • 全国労働組合連合メリディアン(Confederatia Sindicala Nationala Meridian, CSN Meridian)

合併に向けてのこれまでの試み

2004年4月に、BNS(全国労働組合ブロック)が開いた記者会見で、組織合併への試みが発表されている。全国臨時会会議の後、BNSの代表は他のナショナルセンターに、この合併案の議論への参加を呼びかけた。

この呼びかけに呼応した唯一の組織がCNSLR Fratia(ルーマニア自由労働組合全国連合友愛)であった。2004年8月、この二つの団体が合併を発表した。2004年10月の最終合意までに、いくつかの技術的な詰め(新組織の名称、運営構造、新組織の内部組織など)を残すだけとなったが、合併総会が3日後に迫った2004年10月12日、BNSとCNSLR Fratiaは、主に法律上の問題を理由に、統一プロセスを2005年まで延長する決定を発表した。

その後、2006年8月末、ナショナルセンター5団体のうち4団体、つまりCNSLR Fratia、BNS、CSDR(ルーマニア民主労働組合連合)、CSN Meridian(全国労働組合連合メリディアン)の合併に向けたプログラムが起草された。ナショナルセンターに加盟していない他の労働組織にも協定への参加が呼びかけられた。

合併の理由

この合併には、以下のような理由がある。

  • 社会経済的状況、国民の生活水準、労働組合運動の分裂などのルーマニア社会の複雑な経済状態
  • 強力な労働組合は民主主義の柱の一つであるという信念
  • 生活水準の低下を防ぐ主な手段としての、労働者と他の社会階層との連帯
  • 国際レベルで単一の労働組合連合を設立するとした、国際自由労働組合連合(ICFTU)と国際労働組合連合(CMT-WCL)の決定

があげられる。

新組織の構造

合併後の組合連合の新たな構造については議論が行われているが、その名称は、「総労働連合(Confederatia Generala a Muncii, CGM)」になるとみられる。

新組織は、CNSLR Fratia、BNS、CSDRの後継組織として、ICFTU、CMT-WCL、欧州労働組合連合(ETUC)、グローバルユニオンズ(Global Unions)といった国際労働組織のメンバーとしての権利と義務を全て引き継ぐことになる。4組合連合の合併は、地方レベルでも実施される。

また、新組織の運営には、常任委員会、執行委員会、理事会、全国会議があたる。合同協定により、新組織の会長と書記長はCNSLR Fratiaに、執行委員長はCSDRから就任する可能性が最も高く、全国会議議長はCSN Meridianに割り当てられるとみられる。BNSは筆頭副会長を任命し、これを6人の執行副会長が補佐することになる。

この合併により、石油、ガス、電気、水熱・原子力、通信部門の労働者に加えて、ジャーナリスト、法律家、輸送労働者、化学・石油化学部門労働者、公務員が団結することになる。さらに、加盟前のそれぞれの団体の引き継がれた財産を合わせたものが、CGMの財産となる。

なお、ナショナルセンターの一つであるCartel Alfa(全国労働組合連合カルテル・アルファ)は、この合併計画に対する意見や態度を明らかにしていない。Cartel Alfaの決定には、財産問題が影響を及ぼす可能性があるとみられる。

出所

  • European Industrial Relations Observatory on-line

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