来年度予算案と重点政策分野
8月16日、ユドヨノ大統領は来年度予算案を発表した。主な経済目標としては、来年の経済成長率6.3%、インフレ率6.5%、為替レート1ドル=9300ルピア、財政赤字GDP比0.9%、日産原油生産量百万バレルなどとしている。歳入は前年度14.1%増の713兆4000億ルピア、歳出は同8.27%増の746兆5000億ルピアとなっている。
同大統領は重点分野として、以下の9つのプライオリティーをあげている。
- 貧困対策
- 雇用・投資・輸出の改善
- 農業・漁業・林業・地方経済の活性化
- 教育機会及び質の向上
- 法執行、人権、腐敗根絶、官僚主義の改革
- 国防・安全保障・紛争処理
- アチェ、ニアス、ジョグジャカルタ及びジャワ地域の復興・再建
- インフラ整備
- 国境・辺縁地域の開発
これら重点分野に係る政策の実施により目標とする6.3%の経済成長を目指すこととしている。
こうした予算案及び重点分野について、各方面からコメントが早速寄せられた。
貧困問題については、大統領演説の中で「貧困は減少傾向にある」と述べたが、確かに中央統計局のデータによると1998年の24.43%をピークに年々減少し2005年には15.97%となっている。大統領はこの数字を根拠にしたものとされるが、昨年については2度にわたり実施された石油燃料価格の引き上げが反映されていないとの指摘がすぐさまなされた。また予算案に計上された支援策の対象となる貧困家庭数も1400万家庭から1920万家庭に増大していることが分かった。その後中央統計局が正式に発表した2006年の貧困率は17.75%と、貧困率は悪化したことを示している。
また教育については、国家予算の10.6%を占めているが、法で定められている国家予算の20%以上の基準を達成していないため、今後の国会審議での紛糾が予想される。法の執行についても、国家腐敗根絶審議会に報告された1300件のうち300件しか審議されていないことを引き合いに出し、本問題に政府が真剣に向き合っていないと非難する向きがある。政府は閣僚や軍高官の汚職までは手をつけることはない。もしそこまで踏み込めばスハルト元大統領の処罰をせざるを得なくなるからとする見方である。
今後の原油価格の高騰や為替安によるインフレ圧力やジャワ島中部地震の影響などからアジア開銀などがインドネシアの今年の経済成長率を下方修正する動きにある中で、任期半ばを迎えるユドヨノ大統領のリーダーシップによる政策の確実な遂行を求める声が財界を中心に上がっている。
出所
- 現地委託調査員報告、NNA
参考レート
- 1米ドル(USD)=117.24円(※みずほ銀行ウェブサイト2006年8月28日現在)
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