児童のおよそ12人に1人が就労
労働雇用省統計部は、2006年5月、5~17歳の児童の約12人に1人が就労しているという内容の調査結果を発表した。同調査は、国家統計局(NSO)による労働力調査(LFS)から、5歳~17歳の児童に関する最新のデータを用いて分析したもの(注1)。
調査結果によると、2005年1月の5~17歳の児童数は、2530万8000人。この8.4%にあたる212万8000人の児童が何らかのかたちで就労している。児童のおよそ12人に1人が就労していることになる。年齢別にみると、58.7%(124万8000人)が15~17歳の年齢層に属しており、6.2%(13万2000人)が5~9歳の層であった。性別では、年齢層にかかわらず女子よりも男子の就労率が高い。
就労している児童の84%が、世帯主の息子(121万9000人)もしくは娘(56万5000人)であり、家族の経営する農場や会社等で単純作業に無給で従事している者が多い(注2)。学歴では、就労している児童のおよそ4割(84万5000人)は、初等教育を中退している。また、初等教育修了者が18.8%(40万1000人)であるのに対し、中等教育修了者は9%未満(18万5000人)であった。
就労時間では、調査対象週における週間平均就労時間は26時間、一日あたりの通常の就労時間は7時間となっている。ただし、週間就労時間については、60時間から17時間までかなりの幅がある。
就労している児童のうち、有給の者は75万1000人。このおよそ4割(30万人)が日払いであり、31.7%(23万8000人)が月払いであった。その他の児童については、時間払い(1.3%)、現物支給(2.1%)、出来高払い(24.9%)となっている。平均基本日給は、101.92ペソ。男子は108.13ペソ、女子は94.34ペソで、男子の方が女子より高い。
こうした児童の中には、花火工場などで危険な労働に従事する者もいる。また、子供を働かせている世帯は全国に少なくとも300万世帯あり、特に、地方で農業を営む世帯でその傾向が強いという指摘もある。児童の就労は、子供の生命が危険に晒される可能性が大きいだけでなく、学校へ通ったり普通の子供のように友達と遊ぶというような「子供としての基本的権利」を奪っているとし、労働雇用省では事態の改善の必要性を訴えている。
注
- フィリピンでは、1995年と2001年に、ILOの児童労働撤廃国際計画(IPEC)の支援を受けて、児童に関する全国調査を実施している。NSOでは、2003年10月の労働力調査(LFS)から、10歳以上の児童に加えて、5~9歳の児童に関するデータの収集も開始した。その後、2005年4月にLFSの調査票改訂が行われ、就労している5~14歳の児童に関する産業・職種調査項目のみが継続されたが、これまでのLFSでは対象外であった5~24歳の通学状態に関する質問項目が追加された。なお、1995年と2001年の児童調査では、調査期間が過去12ヶ月であるのに対し、労働雇用省統計部が今回使用したLFSの最新データは、過去1週間に短縮されている。したがって、これらを単純に比較することはできない。
- 就労している児童212万8000人のうち、約57%(122万人)が自宅で無給で就労している。
参考レート
- 1フィリピンペソ=2.16円(※みずほ銀行ウェブサイト2006年7月4日現在)
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