自国労働者の保護に関するマレーシアとの覚書に調印

カテゴリー:外国人労働者

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  • 国別労働トピック:2006年6月

インドネシアの隣国マレーシアでは、現在、約30万人のインドネシア人が合法就労しており、その多くは家事労働者として働いている。これら労働者の保護に関する覚書が、5月13日、インドネシア及びマレーシアの両政府により調印された。

この覚書は、マレーシアで就労するインドネシア人労働者の不法就労の防止及び権利保護に法的根拠を与えるものとなる。また、覚書では使用者と労働者だけでなく、人材仲介業者の権利義務についても規定したものとなっている。インドネシアは同様の覚書をすでにクウェート、ヨルダン、韓国及び台湾と交わしている。

覚書の主な規定内容は次のとおり。

  • 雇用前の労働契約締結
  • 労働契約への給与や権利義務内容の明記
  • 使用者による雇用内容及び労働契約(写し)の在マレーシア公館への届出
  • 渡航や査証(ビザ)取得手続きにかかる費用など採用経費の全額使用者負担
  • 健康診断の実施、海外労働者保険への加入
  • 労働紛争のマレーシア当局による調停など

なお、移民労働者の組織や人権擁護派弁護士グループなどのNGOは、この覚書に批判を加えている。同グループは、本覚書が労働者の権利保護関係を概ねカバーしているものの、規定に違反した使用者等の処罰については不明確となっている点を強く指摘しており、違反した使用者や人材仲介業者などに対する明確な罰則の規定を設けるよう求めている。また、併せて不法就労や労働紛争の場合でも事案終結まで労働者が就労できるような救済措置を盛り込むよう求めている。

出所

  • 委託調査員報告

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