「第9次マレーシア計画(2006-2010)」を発表

カテゴリー:雇用・失業問題

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マレーシアのアブドゥラ首相は、3月31日、新経済開発5カ年計画である、「第9次マレーシア計画」を発表した。マレーシア計画はラザク首相が1966年に打ち出した工業化政策を端緒とするもので、第1次マレーシア計画(1966-1970)以来、歴代首相に継承されている。

前回の第8次マレーシア計画は、財政再建を優先して緊縮予算を組んでいたが、経済成長が軌道にのり、歳入が増加しつつあることから、今回は経済活性策に転じたのが特徴である。アブドゥラ首相は、積極的な開発投資計画によって、中国やインド等に流れがちな海外からの投資をマレーシアに呼び戻す方針を明らかにし、年率6%の経済成長の実現を目指すとしている。本計画に係る5年間の予算の総額は2000億リンギ(約6兆4000億円)に上る。

同計画は、2020年の先進国入り(注1)を視野に、台頭著しい中国やインドとの競争に勝ち抜くため、マレーシアの人的資源を緊急に育成する必要性を強調している。教育・訓練分野には、全体の2割にあたる411億リンギを配分し、技術者や科学者の育成に当てる。アブドゥラ首相は、「知識集約型経済、そして先進国を目指すなら、人的資源の開発が非常に重要である」と述べている。

一方、人種間の経済格差については、ブミプトラ(マレー人と先住民族の総称)と中国人の所得格差を04年時点の1対1.64から1対1.50に縮小することを目標に掲げた。しかし、ブミプトラの経済進出促進には難題も多く、目標年限は25年後の2030年とした。

第9次マレーシア計画に掲げられた主な数値目標
項目 数値目標 備考
GDP経済成長率 年率6% 製造業については6.7%、
サービス業は6.5%
財政赤字のGDP比 2010年に3.4%とする 2005年は3.8%
失業率 3.5% 2005年は3.8%
一人当たりGNP 2万3573リンギ 2005年は1万7687リンギ

参考

  • 3月31日、4月1日付ニューストレイツタイムス、 フジサンケイビジネスアイ4月3日

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