2006年の新規採用、大企業と中小企業で両極化現象が明確に
―大企業は前年比 5.7% 増、中小企業は12.9% 減、全体では2.7% の減

カテゴリー:雇用・失業問題若年者雇用

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  • 国別労働トピック:2006年5月

4月13日に韓国経営者協会(KEF)が発表した「2006年新規採用予定調査」(従業員100人以上の企業1536社対象)の結果によれば、2006年における新規採用が大企業(300人以上)で前年比 5.7% 増加する一方、中小企業では前年比 12.9% 減少の見込みとなった。全体では前年比 2.7% 減少となっている。中小企業の新規採用予定が大幅に減少した理由としては、収益の脆弱性だけでなく為替の急落や石油などの原材料価格の高騰などの不安定要因に対する対応力が大企業に比べ小さいことによると分析されている。

産業別では、製造業が 2.2減、非製造業が 4.2%減と、内需不振によるサービス業の縮小傾向を反映したものとなった。

採用計画の有無等については、「新規採用を実施しない」又は「採用規模を縮小する」と回答した企業の割合が中小企業で23.3%、大企業で18.8%となっており、また、製造業が23.3%と非製造業の19.1%を上回っている。特に中小の製造業において採用見込みの減少が著しいことがわかった。

さらに、職務経験別では、新規入職採用が 72.1%、経験者採用が27.9%となっている。また雇用形態別では正社員が 76.2%、非正規社員が23.8%となっており、正社員採用見込みが前年(84.7%)より低下している。正社員採用の減少は景気回復期待感の下落によるものと見られる。

国会審議中の「非正規労働者保護法案」が通過した場合の今後の非正規社員の採用予定について聞いたところでは、「影響がない」と回答した企業が 50.5%と最も多く、「非正規社員を減らす」が 21.2%、「非正規を増やす」は 4.1%に過ぎなかった。したがって非正規労働者の保護を謳った同法案が労動市場を一層硬直化させ、結果として企業は非正規労働者の採用さえ減らす方向になるかもしれないと指摘している。

企業の新規採用の理由は、「欠員補充」が 57.4%、「設備投資の増加に伴うもの」が21.6%、「優秀人材の確保」が 10.4%となっている。一方、新規採用をしない又は採用規模を減らす理由では、「人件費の圧迫」、「政治経済の不確実性」、「稼動率低下」、「解雇の難しさ」など労動市場硬直性を挙げるものとなっている。特に「解雇の難しさ」のような労動市場の硬直性によって新規採用を忌避するという回答が、大企業(12.7%)では中小企業(3.7%)に比べてかなり高く表れたことは、大企業が労働組合との対応の中で解雇の難しさに直面していることを反映していると見られる。

採用の経路では、「インターネットによる公告」が 44.5%で最も多く、「学校推薦」 23.3%、「公共職業安定所 」9.8%、「新聞」 7.4%、「民間リクルート機関」 6.9%、「縁故」 5.2% などとなっている。

また、採用方式は「随時採用」 67.8%、「随時及び定期採用の併用」 23.7%、「定時採用」7.4%の順となっており、就職希望者が就職するためには定期採用よりは随時採用を目指したほうが就職の機会が高いことを示している。

資料出所

  • 韓国経営者協会(Korea Employers Federation:KEF)

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