非正規雇用を正規雇用に

カテゴリー:非正規雇用労働条件・就業環境多様な働き方

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  • 国別労働トピック:2006年4月

正規雇用の権利が生じる期間を短縮

2007年1月1日から、現在、十分な所得や雇用保証のない、様々な形態の非正規雇用に就いている主に若年や女性の労働者50万人が、より改善された雇用保障を手にする。多様な非正規雇用の形態が1つに整理され、同一の使用者は5年間に14カ月を上限として、非正規の労働者を雇い入れることができる。しかし、非正規で6カ月間雇用された労働者には、最初に空席ポストに就く権利が与えられる。現在この制限期間は、12カ月以上となっている。

不安定な期間の短縮により、使用者が非正規雇用を簡単に解雇するのをやめることが期待される。今日のジャーナリストのように、1年になる直前に非正規雇用を解雇するのが、使用者の通常の戦略となっている。労組出身のハンス・カールソン勤労者生活担当大臣は、「使用者が6カ月の間隔で採用と解雇を繰り返すような事態が起こらないよう期待する」と述べた。

新しい法律は、現在、小売、医療、高齢者や子供のケアなどの職種の主に女性の間で一般的な、プロジェクト雇用、季節雇用および試行雇用を禁止している。

改革は、女性や若年者の労働市場や社会一般における地位を顕著に向上させると期待される。現状では、非正規の職に就くかあるいは解雇された若年者は、銀行の借り入れやマンション・家の購入が非常に難しく、賃貸マンションの最初の契約さえ困難な状況にある。

スウェーデン労働総同盟(LO)は、新法を「現政権が実施した最も重要な改革の1つ」と歓迎している。他方、スウェーデン企業連盟(SN)は、採用および解雇を規制するいかなる法律も、使用者の権利および経営に必要な柔軟性に対する不必要な侵害であると見なしている。

保守野党連合の1つで、自らを小企業のための政党と称する中央党は、26歳以下の若年者を雇用保障法の適用除外とすべきであると主張する。そうすれば、臨時に採用の必要が生じた際、使用者が能力の低い労働者を雇ってしまうリスクを恐れる必要がなくなるとしている。

新しい法制はまた、両親休暇を取得する労働者の雇用と所得に関するより強い保障を盛り込んでいる。彼らがもし「仕事がないこと」(正規雇用を解雇する場合に認められる唯一の理由)を理由に解雇される場合、両親休暇中の労働者が職場復帰を報告したときに初めて、解雇予告が有効と見なされる。加えて、新法は、両親休暇中の労働者に、両親休暇を取得していない同僚と同等の賃上げおよび能力開発機会を与えなければならないと規定する。しかし、労使団体は、新法が取り扱う問題に関して、自由に交渉しその他の解決策を見出すこともできる。

正規雇用法案

もう1つの重要な労使関係改革に関する法案(正規雇用に関する提案)が、この春議会に提出され、通過すると見られている。この法案は、一言で言うと、正規雇用は権利であり、パートタイム雇用は代替措置に過ぎないと規定する。とりわけ、パートタイム雇用の活用に大部分依存している、地方政府、商業、建物管理の使用者側に、現在の労働組織を真剣に見直すよう強いるものである。

社会民主党政権は、パートタイム雇用の増大を現在の失業問題の解決策とは見ていない。むしろ、パートタイム雇用はパートタイムの失業であるとするブルーカラー労働組合の考え方に賛同している。パートタイム雇用をフルタイム雇用にすることは、雇用機会を減少させはしない。なぜならほとんどのパートタイム労働者が実際にはフルタイムの仕事に就いているからである。彼らは、正規雇用に提供される僚友関係や参加・訓練機会を得ることができないと主張する。

出所

  • 当機構委託調査員レポート

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