ストライキを背景にしたドイツ二大労組の動き

カテゴリー:労使関係

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  • 国別労働トピック:2006年4月

ドイツの公共部門労働者が2月初旬にストライキに入り、3月21日現在で6週間を経過しているが、依然として解決の糸口は見えていない。このストの争点は、主に使用者側の労働時間延長の提起とそれに対する公共サービス労組のVer.di(ヴェルディ)など労組の反発にある。一方、金属産業でも、これまでの賃金協約の有効期間が2月末で切れ、金属産業労組(IGメタル)が5%の賃上げ要求を掲げて使用者団体と交渉を始めている。この二大労組の姿勢には、産業分野を問わない労働時間延長とフレキシブル化、企業の競争条件の激化などがある。

公共部門労働者の大規模スト

ストはまず、2月6日にバーデン・ヴュルテンベルク州の公共労働者から始まった。公共サービス労組ヴェルディはこの段階で「何週間にもわたる」ストの可能性を示唆している。ドイツでは、公共労働者の大規模ストは14年ぶりとなる。その後、同月13日には、ニーダーザクセン、バイエルンなど9つの州にストが拡大し、期間も長期化する様相を深めた。対象職場は、託児所、ごみ収集、病院・医院など。

ヴェルディは、経営者側から提起されている、地方自治体労働者の週40時間労働制実施に対して反発し、現行の週38.5時間の維持を求めている。ヴェルディ関係者は、「週40時間制になれば多くの若年層が職を失ったままになる。良くない事態だ」とコメントしている(『シュピーゲル』電子版2月7日付)。

3月21日現在、スト解決の糸口はまだ見えていない。ストが最初に展開されたバーデン・ヴュルテンベルク州では、前日の20日にスト収束のための調停プロセスが不調に終わったのを受け、ヴェルディは「労働争議の速やかな終結は予期できない」との立場を示した。ロイターの電子版記事(3月21日付)によると、使用者側は当初提起した週40時間労働から、「39時間余り」まで歩み寄りの用意を示している。これに対してヴェルディ側は「最大でも39時間」を求めている。

金属産業の動向

IGメタルは、現在すべての地区で賃上げ5%要求を掲げている。バーデン・ヴュルテンベルク州地区では、使用者団体が他地区より早く賃金協約を破棄したために、平和維持義務(労働協約の両当事者が労働争議を行わず交渉による解決の努力を義務づけられる)の期間が終了し、3月1日にはダイムラー、ポルシェ、ボッシュなどの従業員を含む約1万人が参加して警告ストが行われた。この段階では、経営側は1%強の賃上げ余地のみがあるとしており、組合側要求との隔たりは大きい。

他地区の平和維持義務期間は3月29日までに切れる。ノルトライン・ヴェストファーレン州では、スト権投票を行って使用者側への圧力を強めている。3月中にも警告ストが実施される可能性がある。組合側は賃上げ要求に加えて、企業に対して「製品および生産プロセスにおけるイノベーション」を義務づけ、企業はそれに従って従業員の職業資格取得の要求を満たすべきだと主張している。ただし使用者側はこの要求に対しては否定的だ。

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