新労使関係法施行 労使関係における連邦政府の権限拡大

カテゴリー:労働法・働くルール労使関係

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  • 国別労働トピック:2006年4月

2006年3月27日、新労使関係法「ワークチョイス(Work Choices)」が施行された。新労使関係法では、労使関係における連邦政府の権限が大幅に拡大されており、州政府や労組が反発している。

今回施行されたワークチョイスは、オーストラリア労使関係委員会(AIRC)の権限縮小、労組に対する規制強化など労働市場の柔軟化の促進を主眼においた内容で、経済を優先する連邦政府にとって成立は長年の悲願であったが、野党の反発によって実現しなかった。それが2004年10月の総選挙で、与党保守連合が上下院で過半数を占めたことで、法案通過、施行に至った。

各界の反応

オーストラリア憲法は、外交・通商、国防、移民などの連邦政府の権限を規定し、 連邦政府の管轄に属さない事項については、州、準州、特別地域が責任を持つと規定している。従来、労使関係制度については州政府により多くの権限が与えられ、各州独自の制度が運用されてきた。

現在、連邦政府の与党がハワード首相率いる自由党と国民党から成る保守連合であるのに対し、すべての州議会(6つの州と2つの準州)で労働党が政権を持つというねじれ現象が生じていることから、新法に対する州政府からの反発は必至と見られていた。

2005年12月以降、原告となっているのはニューサウスウェールズ(NSW)、西オーストラリア(WA)、南オーストラリア、クイーンズランド(QLD)の各州政府が新法を違憲として連邦最高裁に提訴しているほか、労組ACTU(豪労働組合会議)も全国各地で抗議行動を展開している。

これに対し連邦政府は同案によって、豪州経済は一層発展すると革新しているほか、OECDの「エコノミックアウトルック2005」でも「労使関係改革案により生産性の伸びも高まる」と経済の堅調な伸びを予測している。

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