社会保険制度、民間歯科医院での治療にも適応
社会保険局(SSO)は1月18日、社会保険制度(SSF)に新たに3億バーツの予算を追加し、民間病院での歯科治療にも適応することを明らかにした。パイロートSSO事務局長は、SSFの開始後から歯科治療への需要が多いため、病院での待合患者数が増加しているという問題をどう解決するか協議してきたという。
現行のSSFでは国公立医療機関でのみ、歯科治療を無料で受けることができた。タイでは歯科治療が高額なケースが多いため、このサービスの需要は高く、各医療機関では患者の待合時間が非常に長く、SSOに苦情が寄せられていた。しかし、SSFの制度内で無料歯科治療の実施を民間病院にまで拡大することは、SSF基金の予算が不足していて困難であると見送られてきた。
そこで新制度では、歯科治療の範囲を基本的な治療行為(抜歯、詰め物、清掃、虫歯治療)のみで、かつ治療期間を14日以内と限定、年間2回で一人当たり200バーツまでとすることにより、民間病院でもSSFでの無料歯科治療を実施する。これにより、患者の待ち時間が軽減されると見込まれている。
民間病院でSSFの加入者がSSF制度を利用するためには、治療を受ける民間病院とSSOとの間で予め契約が交わされていることが条件となる。この契約を交わした民間病院は、年間1万5000人のSSF加入者の治療に関して責任を負う形となる。
30バーツ医療制度、早くも財政難
一方、2002年から導入されている30バーツ医療制度でも予算不足が指摘されている。この制度はタクシン首相のポピュリズム政策の一環として、農村部の貧困層にも医療サービスへのアクセスを提供したものであるが、2005年からHIV/AIDSや脳外科手術も制度の範囲内に拡大したため、予算が足りないとの声が挙がっている。
2006年現在までに、この医療制度の恩恵を受けた人数は60万人、全国の貧困者の約6%となっている。現在の制度下では、政府はこの制度を利用できる低所得者層1人当たり1659バーツの補助金を支給しているが、専門家の試算によると2000バーツ程度まで引き上げることが適切であると見られている。
その後、2月1日にはこの制度に対して14億7000バーツの追加予算が組まれることが決定した。
参考
- Bangkok Post,2006年1月13,19,31日、2月2日
参考レート
- 1タイバーツ=2.96円(※みずほ銀行
ホームページ2006年2月28日現在)
2006年3月 タイの記事一覧
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