2005年の賃金の伸び、インフレを上回る

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2006年3月

イタリアにおける2005年の賃金の上昇率は、同時期のインフレ率を上回った。ISTAT(国立統計局)のデータによると、1時間あたりの協約賃金の伸びが、2005年平均で3.1%であり、1997年以降最も高い数値であったのに対し、同時期の消費物価の上昇は1.9%であった。なお、2005年12月の賃金の伸びは、前月と比べて0.1%増、前年同時期と比べて2.3%増である。

ISTATの説明によると、2005年における賃金の上昇は、とくに、年明けの上昇が堅調だったこと、そして、いくつかの部門(建築、警察、金融および商業)における上昇が著しかったことが原因として考えられるということである。この4部門における2005年の上昇率は全体で40%である。たとえば、警察の賃金の上昇は8.9%、国防軍は12%であった。また、金融・保険部門では、前年に比べて3.2%増、商業部門では5.4%増、そして建築部門でも4.7%増であった。

ISTATは、2005年12月末に有効な労働協約は、イタリアの労働者の賃金総額の69.6%(840万人分)をカバーしていたが、残りの30.4%は賃金に関する労働協約の更新を待っている状態であったと指摘している。当然のことながら、12月のデータは、冶金部門において1月に達成された労働協約締結による賃金上昇分を考慮していないし、12月末における当部門の労働協約の期限切れについても考慮していない(冶金部門の労働者数は約160万人)。ちなみに、2005年末に有効であった69.6%の賃金額に関わる労働協約から、2006年1月末に期限が切れる労働協約を除くと、残りの有効な労働協約がカバーする賃金額は22.2%にすぎない。2005年末に期限が切れた労働協約の中でも影響が大きいのは、280万の労働者に関わる公務部門の労働協約である。

参考

  • 2006年1月31日付 Corriere della Sera紙

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