労災事故における初の実刑判決

カテゴリー:労働条件・就業環境

スペインの記事一覧

  • 国別労働トピック:2006年11月

2006年9月18日、マドリッド県裁判所は、建設労働者2名の労災による死亡に関し、工事の安全管理責任者ら6名に2年~2年6カ月と1日の禁固刑を言い渡した。労災で実刑判決が下されるのは初めてのことである。

この事故は2001年5月21日、建設プロモーターCOGEINSAの工事現場で起こったもの。2人の労働者が工事下請会社CMAQに命じられて行った足場の解体作業中に事故は起きた。判決では、「これら労働者は作業を行う十分な訓練を受けておらず、知識や訓練の不足に加え、責任者の監視なしで作業が行われ、その結果として足場が崩壊し2人の死亡につながった」としている。

マドリッド地方裁判所は2004年9月、被告10名のうち2名を有罪とする判決を既に下していたが、今回、マドリッド県裁判所は、事故の責任者をさらに6名まで増やす判断を下した。具体的には、工事現場安全コーディネーター、担当の建築士2名、および下請企業のCMAQ社長が禁固2年6カ月1日、下請企業の現場駐在員と工事現場係が禁固2年となっている。

スペインでは一般に、前科がなければ禁固2年以下の刑は執行猶予付きとなるので、実際に服役するのは4名となる。その他に損害賠償として、犠牲者1人の妻に対し14万683.23ユーロ、もう1人の父親に対し6万6204.89ユーロを支払うことが命じられた(賠償額は保険会社が一部負担)。被告はすべて憲法裁判所に保護請求の訴えを起こす意向である。

マドリッド州高等裁判所のマルティネス検事によれば、今回の判決は労災における責任の重さに度合いを設定している点で新しく、また業務上過失致死罪だけでなく労働者の安全に対する罪を認めており、その結果として実刑判決となったとしている。

労組のUGTとCCOOは、建設現場の責任者が労災で実刑判決を受けるのが初めてであり、また判決が下請の問題および労働者の訓練不足の問題に言及している点を高く評価している。

参考レート

2006年11月 スペインの記事一覧

関連情報