「世界の雇用動向―若者編」発表される
国際労働機構(ILO)は、10月27日「世界の今日動向―若者編」を発表した。この報告書は、2004年に刊行された「若者の労働市場に関わる地域的および政界的指標」をベースに、15歳から24歳の若者の労働市場における動向に関する実証分析と数量評価を行った結果である。
報告書は、(1)世界中で11億の若者人口のうち三分の一が失業しており、職探しも断念している、(2)10年間で若者人口は13.2%増えているが、就業者数は全体で5億4800万人、わずか3.8%しか伸びていない、(3)15歳以上の生産年齢人口に占める若者の割合は25%であるが、失業者数に占める割合は44%と高い、若者の失業率は13.5%であるが、これは高齢者の失業率4.6%をはるかに上回っている――などの点を指摘している。
本報告書は、さらに、女性労働者の課題、ワーキングプアに陥っている若者、働かず、学校にも行かない、いわゆるニート若者層についても言及しており、解決のためには、若者労働市場には共通した誤解があることを指摘している。すなわち、多くの途上国では依然教育アクセスが問題であること、高い教育達成度が就職の保障になるわけではないこと、経済成長が鈍い場合には就職のモチベーションとして職務満足度より雇用保障が優先されること、求職意欲の失くした、あるいはワーキングプアの若者が増えていること、若者の多様性と対応策、農村地域での雇用創出が若者の雇用戦略に有効であること――などの諸点を指摘している。
失業状態が続いた場合、若者の無力感を増長するばかりでなく、貯蓄率の低下、投資支出の低下、防犯や薬物利用の予防といった矯正サービス用社会費用の見地から、社会的、経済的コストを発生させると同報告書は指摘し、警鐘を鳴らしている。
参考
- ”Global Employment Trends for Youth” International Labor Office, Geneva, 2006
出所
- ILO駐日事務所ウェブサイト等
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