大学卒業後待ち受ける研修という競争

カテゴリー:雇用・失業問題人材育成・職業能力開発

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  • 国別労働トピック:2006年11月

公式失業率でも10%を超えるという雇用情勢の中、企業は技術や技能を持った労働者の確保が困難な状況となっている。大手企業では期間を限定してまず研修生を募集し、研修態度を観察しながら、これを入社試験の代用として利用するようになった。多国籍企業や大手企業では平均して3カ月の研修期間で募集することが多い。大手企業では、あまりにもこの研修希望者が多いために、研修生を募集選考する予備試験会社まで出現しており、大手企業の研修生となるには、この会社の予備試験に合格する必要が生じている。

ある大手の予備試験会社によると、研修希望者は年間約15%増加しているという。企業が研修制度を入社試験の代りに利用する理由として、(1)労働市場の悪習に染まっていない有能な若者を確保できる。(2)課長クラスまで育成するには、企業内で最低5年の訓練が必要となるため最初からリーダーシップを持った有能な若いスタッフを発見できる、という2点を挙げている。しかし受け入れた研修生のうち正式採用は0.1~0.5%に過ぎず、正式採用社員への登用は非常に厳しい。

ブラジルでは大学の期末が12月であり、企業が採用試験を開始する4月までの3カ月間は研修生として過ごすことが習慣となっている。就職難の現在、研修は企業にとっては就職試験、就職希望学者にとっては能力デモンストレーションの場となっているが、研修生となるにも非常に激しい競争が待ち受けている。ある国内最大のスーパーマーケットでは、1店平均12人の研修生募集に応募者は平均5000人であった。また、各企業は求職者に対して独自の採用条件を要求するために、研修生としてどこでも通用し、合格するための一般的技法やテキストはまったく存在しないのが現状となっている。

出所

  • 海外委託調査員

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