本格的投資促進に向けたベトナムの動き
― 一般投資法、統一企業法など国内法を整備

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2006年10月

2006年7月1日、ベトナムにおける投資と企業設立の根拠拠法である「一般投資法」と「統一企業法」が施行された。ベトナム政府はWTO加盟に向け、国内法の整備を行っており、この2法もその一環として策定されたもの。従来、ベトナムでは国内企業と外国企業はそれぞれ別個の法律で規定されていたが、新法によってベトナム国内に所在する全ての企業が共通の法律で規定されることになった。

国内企業と外国企業の垣根を撤廃

今回施行された一般投資法は、国内企業による投資を対象とした国内投資奨励法と外国企業による投資を対象とした外国投資法を統合の上修正したもの。統一企業法は、国有企業を対象とする国有企業法と民間企業を対象とした企業法を同じく統合の上修正したものである。

従来、外国投資家がベトナム企業を設立する場合、その投資形態はベトナム企業との合弁会社か100%外資かのいずれかしか選択できず、企業形態も有限会社に限定されていた。今回の新法の施行によって、外国投資家はあらゆる分野に進出することが可能になったほか、会社形態についても自由に選択することが可能になるなど、大幅な規制緩和が行われた。

進む国営企業の民営化

WTOの加盟は、国内企業にとって外国企業との厳しい競争にさらされることを意味する。とりわけ、社会主義体制下における経済主体であった国営企業は、ずさんな経営管理、老朽化した設備、余剰人員など多くの問題を抱えその経営が悪化していた。

政府は2000年以降、積極的な国営会社の民営化を積極的に進めており、約1万2000社あった国営企業の数は、1990年には約6000社、2001年には約5100社、2004年には4500社に減少している。

わが国でいう持株会社に相当する「総会社」に対しては国家による直接経営が継続されるが、総会社の傘下企業は株式会社に移行することができる。最近ではベトナム石油・ガス総会社(Petro Vietnam)の傘下企業である石油ガス開発総公社、ガス総公社、電力生産経営総公社などが2005年12月に株式公開され、翌2006年には、石油、ガスの開発、精製、販売を多角的に行う「ベトナム国家石油ガスグループ」が設立されている。2005年には724社の国営企業が株式会社化されており、今後も国営企業の民営化の動きが続くとみられている。

日系企業による対越投資の特徴

日本からの投資をみると、いくつかの特徴が挙げられる。新規投資件数は2000年より年々増加し、2005年の107件は過去最高の規模となった。セクター別の内訳をみると、工業分野への投資が主体となっており、その中でも重工業が主体となっている。サービス分野での投資は製造業務に関連する運輸(ロジスティクス)分野への投資が多くなっている。

近年、北部地域を中心に大規模な投資が行われており、2006年に入り、パナソニックコミュニケーションズ株式会社が北部ハノイのタンロン工業団地にIT機器組立工場を、ブラザー工業が北部ハイズン省にプリンタ等の製造工場を設立した。

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