AFL-CIO、全米日雇い労働者ネットワーク(NDLON)との連携を表明
アメリカ労働総同盟産別会議(AFL-CIO)は、8月9日、建築請負業者や個人に雇われ、産業廃棄物処理や住宅の改築作業に従事する日雇い労働者(注1)を支援する全米日雇い労働者ネットワーク(National Day Laborer Organization Network:NDLON)との連携を発表した。
NDLONは、日雇い労働者により2000年に組織された団体で、地域を基盤に日雇い労働者の職業斡旋、雇用主とのトラブルの仲裁作業等の支援活動を行っている。現在では、31州で140以上の組織ネットワークを構成する。
今回のAFL-CIOとNDLONとの連携については、不法移民の日雇い労働者を多く抱えるロサンゼルス地区を中心に地元メディアでの評価は高く、今後の活動成果への期待の声も高い。(注2)
また、米国メディアは、今回の連携は、AFL-CIOが日雇い労働者を組織化対象とみなすという姿勢の現れであり、将来の両者の連合へのステップになるであろうという見方をしている。これまでのAFL-CIOの活動方針からすると大きな変革であるという指摘もしている。
AFL-CIOの今回の一連の動きの背景には、最近のアメリカにおける不法移民の組織化の動きが指摘される。特に、昨年はAFL-CIOの組合員の1/3が脱退してCWC(Change to Win Coalition:勝利のための変革連合)が結成されたが、CWCは、不法移民の組織化に重点的に取り組んでいる。そういった流れに中で、AFL―CIOも生き残りをかけて、あえてこれまでの方針転換を迫られているということである。
しかし、AFL-CIOと日雇い労働者ネットワークとの連携内容は、ただちに日雇い労働者がAFL-CIOの組合員になるというものではない。
不法移民の場合、小規模の雇用主の下で働いているものがほとんどであるため、不法移民が大半を占める日雇い労働者の組織化は雇用主の強い抵抗により難しいのではないかと冷静に指摘する声も一方ではある。
注
- 日雇い労働者については、カリフォルニア大学ロスアンジェルス校とイリノイ大学シカゴ校が、2006年1月にヒヤリング調査結果を共同で発表しているが、同調査によると、現在12万人以上が日雇い形態で就労していることが明らかになっており、その大半はヒスパニック系である。調査に回答した約2600人の日雇い労働者の約半数が最近2カ月間に賃金不払いを経験したことがあり、約1/4は現場で解雇を命じられるなど、不当な扱いを受けていると同調査は報告している。
- WashingtonPost,August10
参考資料
- 海外委託調査員8月レポート
- Chicago Tribune, August 10, 2006
- Los Angels Times, August 10, 2006
- A Valenzuela Jr., N Theodore, E.Melendez, A.L.Gonzalez,”On the Corner: Day Labor in the United States” January, 2006
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