労組、契約労働の廃止を提案

カテゴリー:非正規雇用労使関係労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2006年1月

タイ労働連合委員会(The Thai Labor Solidarity Committee)は2005年11月20日、「不正な労働契約:契約労働制度の廃止と貧困」と題したセミナーを開催し、政府に契約労働制度の廃止を訴えた。

現在タイでは、契約ベースの労働者を雇用する際に、120日以内の契約であれば試用期間とみなされ、企業側は社会保障費などを負担する必要がない。そのため企業の中には、契約期間を短く設定し、期限が切れると再度契約更新という形を採り、正社員を採用しない傾向がある。また、製造業の生産労働者の多くが契約ベースの労働者であり、正社員に登用され難いという問題が指摘されている。さらに本セミナーの中で、企業と労働者の間の仲介業者の問題が取り上げられ、労働者はこの仲介業者に不当に賃金を搾取されていると報告がなされた。

このセミナーにおける38歳の女性労働者の報告で、短期契約ベースの雇用のため、失業期間と契約労働を繰り返し、生活が不安定にならざるを得ないこと、そして賃金から不当に高い額を仲介料として差し引かれていたことなどその実態が明らかになった。契約制度の下で彼女は、有給や賞給、福利厚生、健康診断などは一切受けることはできず、同僚の女性のケースでは、妊娠が発覚した場合は即時解雇となったという。契約が切れると、次の契約書を持って仲介業者が再度間に入り、仲介金を搾取するという。彼女は、契約制度の下では、労働者が人間らしい生活を送ることができないと訴えている。

このセミナーの参加者は、契約制度の廃止または労働法の改正、さらに仲介業者の取締りの必要性を強調した。契約労働者は、組織化するにはあまりに脆弱なため、こういった訴えを自ら起こすことはできないからだ。労働省労働保護・福祉局のサタポーン専門官は、タイの労働市場で契約労働が増加していることを指摘した。同省が実施した調査によると381の仲介業者が、11万人以上の労働者を契約労働者として抱え、主に工業地域で営業を活動しているという。

参考

  • Bangkok Post, 2005年11月21日

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