ドイツ金属産業の賃金交渉
―組合側要求水準固まる

カテゴリー:労使関係

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  • 国別労働トピック:2006年1月

約340万人の労働者を組織するIGメタル(金属産業労組)は2005年12月12日、来春から始まる次期賃金協約交渉にあたって、賃上げ要求水準を「5%まで」とする方針を固めた。この方針のキャッチフレーズは、「支払能力のある、そして革新的な(イノベーティヴ)」であり、賃金改定と同時に、技術革新と従業員に対する再教育を要求するとしている。金属産業の使用者団体ゲザムトメタルは「ドイツの雇用にとって悪いニュース」だとコメントし、高い賃金コストは労働市場に悪影響をもたらすとの立場を示している。

現在の賃金協約の有効期限は06年2月末までで、新協約の労使交渉はそれ以降に本格化する。労使交渉に際してストライキの手段を行使しない「平和維持義務」の有効期間は3月末までとなっている。

04年に妥結した現行協約では、4%の賃上げ要求に対し、04年3月から2.2%、05年1月から2.7%と二段階の賃上げを実施することになった。今回決定した要求水準は、前回の要求を意識して上積みを狙うものだ。IGメタルのJ・ペータース委員長によれば、物価上昇分と生産性向上分を合わせた4%相当が「経済全体から見た中立的な賃上げ余地」であり、それに金属産業分野の「より好調な」状況を加味した数字が、今回の5%要求の根拠になるという。この水準に対して、ゲザムトメタルのM・カーネギーサー会長は「ドイツの労働市場は、さらなる労働コスト増加を受け入れるにはシビアな状況だ」と反応している。次期交渉では、これらの要素をどう見るかに加えて、大連立政権が打ち出した07年からの付加価値税税(消費税に相当)の現行16%から19%への引き上げをどう見るかもポイントとなる。

賃上げ要求とともに、企業競争力を高めるための「イノベーション」が要求項目として示された。従業員対象の企業内再教育を求めるとともに、従業員代表組織である事業所委員会を、その視点から見た「革新的な事業戦略」を経営陣に求めるべく強化を図るとしている。

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