給与伸び率の低下と従業員の不満感

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  • 国別労働トピック:2005年8月

行政院主計処(DGBA)が発表した最近の月例報告によると、第1四半期の平均本給は3万5430ニュー台湾ドル(1128米ドル)であり、昨年同時期比0.72パーセント増と、ほぼ3年間で最低の伸び率となっている。

DGBAの官吏は、所得の伸びが低い理由として、雇用者拠出率が従業員の月給の6パーセント以上でなければならないことを定めている労働者退職年金法が、今年7月1日から施行されることが考えられ、多くの使用者が6月30日の同法の発布以来、この施行により労務費が増える可能性のあることを心配しているからだと述べた。

この報告は、工業とサービス業の被用者の平均給与は、本給と賞与を含めて、昨年同時期を0.63パーセント上回る3万9438ニュー台湾ドル(1256米ドル)であったことを示している。

給与満足度オンライン調査結果

一方、オンラインの「1111人材銀行」は、最近被用者の給与について世論調査を実施した。世論調査の結果によれば、大半の台湾の被用者の収入は年40万ニュー台湾ドル(12739米ドル)に満たず、91%が自分の給与に満足していない。回答者の26.7%が、年間給与は39万ニュー台湾ドル(12420米ドル)から3万0ニュー台湾ドル(9554米ドル)の間だと言っているが、24.8%が2万0ニュー台湾ドル(6739米ドル)未満、22.1%が2万0ニュー台湾ドル(6739米ドル)と29万ニュー台湾ドル(9236米ドル)の間だということであった。

年間給与が100万ニュー台湾ドル(3万2000米ドル)を超える台湾の被用者はわずかに1.43%にすぎず、一人当たり平均年間給与は34万2300ニュー台湾ドル(1万901米ドル)になることを世論調査は示している。

また、31歳から35歳の被用者の平均年間給与は44万8100ニュー台湾ドル(1万4271米ドル)であり、30歳から26歳の被用者の平均年間給与は34万4100ニュー台湾ドル(1万0959米ドル)であることがわかった。25-21歳の年齢グループの平均年間給与は26万6800ニュー台湾ドル(8497米ドル)である。

事務職員の82%は、給与に満足していないと回答し、満足であると回答したものはわずか6.6%であった。

約91%が100万ニュー台湾ドル以上の年間給与を得ることを夢見ているが、すでにこのレベルに達している者は、この水準になるのに5.09年を要している。

20代と30代のおよそ56%が、100万ニュー台湾ドルの収入を得る最も早道は事業を起こすことだと答えたが、質問を受けた被用者の60%以上が、調査によると、情報産業や金融・保険部門で働く方が年間給与100万ドルを達成できる見込みが高いと異議を唱えた。

行政労工委員会調査結果からの分析

一方、行政院労工委員会(CLA)が、2005年3月に発表した台湾地区人的資源調査結果統計の最近の月例報告によると、民間労働力は1030万5000人であった。前月と比較すると、1万1000人、すなわち0.10%減少している。前年同月比では、13万7000人、すなわち1.35%の増加であった。また2005年3月には、被用者は合計98万77000人であり、前月と比較すると、3000人、すなわち0.03%の増加であった。前年同月比では、16万2000人、すなわち1.66%の増加であった。全被用者の内、有給被用者は727万6000人で、有給被用者が占める比率は73.67%であった。また、同期間の失業者は428000人であった。前月と比較すると、3.02%の減少である。前年同月比では、3.35%の減少であった。女性の失業率は3.66%で、前月と比較すると0.14%減少している。前年同月比では、0.25%の減少である。

すなわち、台湾の全体的な雇用状態は改善したが、給与水準に対して被用者は依然として不満感を抱いている。実のところ、台湾では、基本給、毎月の定額手当、割増金、残業手当、名目を問わずその他の通常の報酬を含む固定給与の伸びは、約10年間低下してきた。したがって、被用者のこの不満感は、上記の労働者退職年金法の発布に関連していると見られている給与の伸びの鈍化に限定されていない。消費資金協会は、数日前から、牛乳、ジュース、パン、ガス、航空券、バス、健康保険料率、税金など、多くの商品の値上がりについて不満を訴える電話が多くの市民からあったと述べた。苦情は、「給料以外すべて値上がりしている」というものであった。これは、被用者の給与に対する満足度が非常に低い理由を解釈する最も重要な要因である。

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