賃金政策への不満と難航する賃金交渉

カテゴリー:労働条件・就業環境労使関係

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  • 国別労働トピック:2005年5月

2005年の賃金交渉はかなり困難なものになりそうな気配を見せている。政府が公的・行政機関における集団協約で賃上げに3%の上限を設け、それを民間企業にも広げようとしたことが労働者側の反発を招き、すでにストやデモが多数予定されている。因みに今年のインフレ率は4%を上回るものと見られている。

電話局職員組合リーダーで、全国労働者同盟(UNT)幹部を務めるフランシスコ・エルナンデス・フアレス氏は、現政権が強いてきた非常に厳しい賃金抑制策は労働者にとって「拘束服」のようなものであったが、「これ以上締め付けを厳しくしたらボタンが飛ぶかもしれない」と述べて、労働者側からの抗議が噴出する可能性を示唆した。同氏は現政権の労働政策について、賃金上昇率の厳しい制限だけにとどまらず、連邦労働法(LFT)に定められる労働者の権利が次々に侵害されてきたとして、「過去6年間で最悪」であると批判している。

UNTがTelmex(メキシコ電話会社)で続けている賃金交渉では、労働者側は19.07%の上昇を要求しているが、交渉は遅々として進まず、何ら具体化していない。あまりにも大幅な賃上げ要求ではとの問いに対し、エルナンデス・フアレス氏は、厳しい賃金抑制の結果労働者の購買力はすでに大きく低下しており、その回復を求めるだけで「過度な要求」と見られてしまうと反論している。

同氏は「政府によって労働者は働き口があるだけで満足し、雇用主側が押し付ける条件を全て受け入れるようになってしまった。」と述べ、「極めて深刻な事態」として非難している。また、UNTが賃金その他の労働条件に関して正当な要求を掲げているにも関わらず、「不当で法外な要求をする労組」と決め付けられてしまうとして不満を表明している。

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