総合労働法と組合法改正の行方
ルーラ労働党政権の公約であった総合労働法と組合法の改正は、時間と共に実現可能性を失いつつある。特に労働法の改正を強く希望していた経営者団体も、労働党政権下での実現をほぼあきらめた状態。一方組合法の改正においては、CUT(ブラジル中央統一労組)及びフォルサ・シンジカル(労働組合の力)が、自組織の権限強化を図り、労使、政府代表によるフォーラムで根回しを行っており、経営側はこれを嫌悪、組合法改正だけを優先させるなら、政労使協議も国会審議も拒否する方針を表明している。
こうした経営側の意向を汲んで、政府は組合法改正に向けて積極的に動かない姿勢を見せ始めており、これに対して労組は、4月から首都ブラジリアの国会議員に圧力をかけるための事務所を開設して、議員に個人攻撃をしかけるなどの対抗策を発表した。CUTは、労働党直系であるため、労働党国会議員及び地方の党支部に圧力をかけ易く、一方のフォルサ・シンジカルも、パウリ―ニョ委員長がPDT(民主労働党)所属のためにPDTに対して工作すると申し合わせた模様。
こうした二大中央労組の動きに対して、地方組合や、他の政党に属する中小組合は、既得権益の喪失を恐れて、態度を決めかねている。CUTやフォルサ・シンジカル所属の産別組合でも、中央労組幹部の意向に反対して、反旗を掲げる組合が出てきた。また、二大中央労組の協調路線も磐石ではない。CUTが政権寄りであるのに反し、フォルサ・シンジカルのパウリ―ニョ委員長は野党所属であり、労働党政権下でCUTが、単独で自身に有利な組合法改正を工作する可能性を常に警戒しており、二大中央労組の協力関係は微妙。こうした、立場の違うそれぞれの思惑が絡み、両法改正の行方は益々混沌としてきた。
参考
- Valor紙2005年3月28日付
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