深刻な水不足とディーゼル価格引き上げにより、成長率を下方修正

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国家経済社会開発局(NESDB)は3月18日、2005年の経済成長率を5~5.25%に下方修正する方針であることを明らかにした。

年始における各機関の2005年第4四半期の経済成長率はおよそ5.5~6.5%との数字であったが、これは原油価格が1バレル38米ドル、およびディーゼル油が1リットル15.19バーツであることを仮定して推計した数字であった。

3月現在の原油価格は1バレルあたり50米ドル、ディーゼル油は18.98バーツ(近日中に引き上げが決定)に上昇しており、多くのエネルギーを原油に依存するタイ経済に悪影響が及ぶとの考え。

一方、2004年末から各地方で起きている水不足が農業に与える影響についても、NESDBでは110億バーツの損失に上るのではないかと見ている。

産物別には、米、大豆、砂糖キビ、タピオカ生産量の減少が80億円、その他の非農業分野での損失が30億バーツ、計110億バーツの損失を見込んでいる。現在旱魃による悪影響を報告しているのは全国76県中66県、4万1688村に上る。

一方、農業・農業協同組合省では2005年の旱魃の損失を98億バーツ、救済支援予算を70億バーツと想定している。2004年までに、138億バーツの農産物生産量の減少・破損が報告されており、同省ではすでに33億バーツの補償金を農家に支払っている。

今回の水不足は1997-98年のエルニーニョ現象の際に起きた水不足以来の大旱魃になると見られており、農産物だけでなく、石油化学、肥料、運輸業などへの間接的な悪影響も懸念されている。

政府はこの対策として、各地に溜池とポンプの設置を行うことを決定。また長年地方の水不足に関して高い関心を持ち、人口降雨機に関しては特許を持つ国王が、ホアヒンに人口雨に関する研究センターを設置することを明らかにした。

その他の懸念される経済要因としては、2004年末の南部地方における津波被害による観光収入の減少、鳥インフルエンザによる鶏肉輸出額の減少(2004年は200億バーツの損失)などがある。

表:NESDBによる経済成長率の推定値
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出展:NESDBHP新しいウィンドウ

参考

  • Bangkok Post, 2005年3月8,17,19日

参考レート

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