労組法改正に企業は警戒感

カテゴリー:労働法・働くルール労使関係

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  • 国別労働トピック:2005年4月

全国工業連合会とサンパウロ州工業連盟(FIESP)を主体とする企業家団体は、2005年3月15日に、労組法改正セミナーを開催して、労働法改正なくして、組合法のみの改正は意味がないと、政府を激しく非難した。連合会のアルマンド・モンテイロ会長は、「労働法改正を放置して、政府案通りに労組法だけ改正すれば、労組が肥大化し、徒に労使対立を煽るだけ。生産コスト上昇、投資を躊躇させる結果を招く可能性もある。労組を強化するなら、それにふさわしい柔軟性を持った労働法が必要となる」と主張している。

企業家たちは、ルーラ大統領が、労組指導者として政治基盤を作り、労働党を創立して大統領に就任した人物だけに、組合強化のみを注視し、使用者側に配慮を見せず、労使対立を刺激するような形になっていると批判している。また、労組法の改正案が労働価値を高める方向には作用せず、労働者を政治運動に駆り立てることにより、組合指導者支配社会を出現させるとする見方を発表した。労組法改正案は、労働省の下で労使、政府によるフォーラムによって議論するシステムを作っているが、企業家側は、企業の提案を政府は常に拒否し、また、使用者側の交渉権限を制限しようとしており、これでは政治色を有する労租の交渉プロが出現すると恐れている。

今回の労組法改正案には、労働党政権と直結している中央労組CUT指導者が、独自に作成した改正案の主張が強く反映されている。CUTに限らず各労組の役員は、任期を終ると政界に進出することが習慣になっており、労組の役員は政界進出の下準備の場のようになっていて、労使交渉も政治的配慮が反映される可能性を企業家は警戒している。

参考

  • Valor2005年3月16日付

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