2004年、雇用も収入も低下
政府予想によると、2004年のGDP成長率は約5%としているが、労働市場に関する限り、見るべき成果を残していない。2004年11月の公式失業率10.60%は、12月に9.60%へと下げて、月間としては、2001年10月以来最も低い数値になってはいるが、これは年末商戦に向けた商工業の季節的労働需要がもたらしたもので、年間平均にすると、11.5%となる。
2003年の平均12.3%よりは低いが、2004年においても6大首都圏で210万人が失業していたことになり、失業率は依然高い水準で推移していると、ブラジル地理統計資料院(IBGE)は判断している。
一方、就労者の平均収入は、11月の平均912.26レアル(約304.09ドル)が、12月は1.8%低下して895.40レアル(約298.47ドル)となった。前年12月比では1.9%増加であるが、年平均では2002年の1,048.85レアル(349.62ドル)、2003年の914.80レアル(304.93ドル)に対し、04年は907.80レアル(約302.60ドル)と、前年より0.8%低下している。2003年はGDPがわずかプラス0.54%に留まった厳しい年であったが、2004年の就労者の収入はGDPの率よりもさらに低下した。ただ、2003年に前年比で12.5%も平均収入が低下したことに比べると、2004年の0.8%低下は、悪化が若干弱まったとも言える。2004年はGDPが回復傾向を見せたものの、企業はまだ警戒して、非典型労働者など,安い賃金の労働者を雇い, 様子を見ようとしたことや、高い賃金の労働者を解雇して、安価な労働力と入れ替えるローテーションが進んだ結果、平均収入は低下したと説明されている。
失業率からすると、2004年の労働市場は相変わらず低迷したと言えるが、同年に経済活動人口は3%増加している中で、就労人口が2.3%増加したことは、これまでの就労人口減少と比較するなら、悪化は緩和されたと評価することが出来るという見方もある。ただし、2004年前半から生産が拡大し、企業の生産性は向上したが、企業利益が増加しただけで,就労者の収入上昇や、雇用増加にまではいたっていない。また、2005年もGDPの成長は継続する予想であるが、経済回復予想がでると、就職を諦めていた潜在失業者が求職活動を開始するために、失業者として計算されるようになり、2005年も失業率はあまり好転しないと予想されている。さらに、雇用チャンスの増加よりも、求職人口が多すぎることによって、就労者の平均収入の回復は、当分抑圧されると予想されている。
2004年の失業率と就労者の平均収入の推移は以下のようになっている。
失業率 | 就業者の平均収入(単位:レアル) | |
---|---|---|
1月 | 11.70 | 895.00 |
2月 | 12.00 | 899.83 |
3月 | 12.80 | 912.48 |
4月 | 13.10 | 904.53 |
5月 | 12.20 | 897.97 |
6月 | 11.70 | 914.58 |
7月 | 11.20 | 920.38 |
8月 | 11.40 | 907.30 |
9月 | 10.90 | 922.81 |
10月 | 10.50 | 911.58 |
11月 | 10.60 | 912.26 |
12月 | 9.60 | 895.40 |
備考
- 2004年の平均失業率は9.6%、平均収入は907.80レアル(約302.60ドル)、1ドルは約3レアル)。
参考
- ブラジル地理統計資料院(IBGE)
参考レート
- 1米ドル=105.00円(※みずほ銀行ウェブサイト
2005年3月3日現在)
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