2004年の雇用率、3.2%の伸び
―IT分野等の経済発展を担う分野の労働力確保が今後の課題に
労働雇用省(DOLE)は1月19日、「2004年の雇用率は3.2%の伸びを示した」と発表した。アロヨ大統領の掲げる目標数字には達しなかったものの、サント・トマス労働雇用省長官は、「目標達成は可能である」と自信を示した。
雇用統計局(BLES)によると、2004年の雇用者数は、3161万1000人。2003年の3063万5000人から、97万6000人増加、3.2%の伸びとなった。部門別では、サービス業が4.5%(65万9000人)増の1523万6000人で、全体の48.2%を占めた。工業は、3.3%(15万9000人)増の499万9000人、農林水産業は、1.4%(15万8000人)増の1137万7000人であった。これらの部門における雇用増が、全国的な雇用の伸びに実質的に貢献したといえる。
サービス部門の伸びを支えたのは、27万1000人の増加をみせた卸小売業。次いで、11万6000人増の運輸・倉庫・通信業、8万8000人増の家政婦となっている。一方、工業部門では、2003年とほぼ同様の伸びをみせ、その大部分(12万人)を製造業が占めている。
アロヨ大統領は、任期中の6年で1000万人の雇用創出を目標に掲げている。年平均では、およそ170万人。2004年はこの数字には及ばなかったが、政府は、雇用創出実現に向けた政策を打ち出し、実行に移している。
例えば、中小企業向け融資の拡大。政府は、2005年度の中小企業向け融資として、280億ペソを割り当てる予定であることを明らかにした。この額は、2004年度の目標額を50億ペソ上回る。これによっておよそ50万人の新規雇用が期待できるという。融資は、全政府系金融機関の共同政策である「国家成長のための中小企業総合貸出プログラム(SULONG)」を通じて行われ、フィリピン不動産銀行(ランド・バンク)、フィリピン開発銀行(DBP)などが取り扱う。04年11月末現在、同プログラムによる中小企業への融資額は、およそ240億ペソ。53万人以上の雇用を創出したとされる。中部ルソン、カラバルソン、北部ミンダナオ地方および首都圏で利用者が多く、製造業、貿易、サービス業が大部分を占めている。
こうした新たな雇用の創出への取り組みとともに、ここ数年で急成長をとげた分野の労働力確保という課題が浮上している。フィリピンでは、ここ数年、情報技術(IT)関連サービス、電子、自動車部品、鉱業、食品、ヘルスケア、インフラ、物流の各分野で急成長をみせた。これらの分野が経済発展の牽引役となっていることは間違いない。こうした分野の中核を担う優秀な人材をいかに確保するか。
貧困、高失業率、財政赤字等、政府が解決すべき問題が依然として多いフィリピン。「試練は成長への好機」(貿易産業省)とし、2005年の更なる成長に向けて、政府は諸政策に取り組む姿勢を示している。
参考レート
- 1フィリピンペソ=1.89円(※みずほ銀行ウェブサイト2005年2月2日現在)
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